学校行きたいけど行けない 子どもの「登校渋り」 

学校行きたいけど行けない 子どもの「登校渋り」 

2024年02月29日公開

体の症状として表れることも 対応はどうしたらいいの?

 「仕事の日は朝起きづらい」。こんな経験は誰にでもあります。背景には「仕事に行くべきだけど行きたくない」気持ちが隠れています。

 子どもも同じような気持ちを抱えます。しかし、大人ほど上手には折り合いをつけられません。登校したい気持ちと登校したくない気持ちの間で揺れ動き、葛藤します。葛藤が大きくなれば泣いたり怒ったりと感情が崩れることや、頭痛や腹痛など体の症状として表れることもあります。これが「登校渋り」です。

 「泣くけど登校すると元気に過ごせる」「休むと決まった途端、遊び始める」こともよくありますが、これは決断することで葛藤が解消されるからです。しかし、翌日には同じ葛藤がやってきます。登校渋りはわがままではなく、気持ちが揺れ動いて起こるため、「登校は当たり前」「勉強が遅れる」などとプレッシャーを与えても解決しません。

 そのため、登校したくない理由を見立てて対応する必要があります。例えば勉強が苦手なら手助けをする、宿題が大変なら量を減らす、いじめがあるなら解決する、先生が怖いなら仲良くなる方法を考える、家から離れるのが寂しいなら親子登校にするなど、理由に合わせて作戦を立てます。加えて、登校したい気持ちを増やすアプローチも大切です。例えば仲のいい友達に迎えに来てもらう、受けたい授業から参加する、好きな先生と休み時間を過ごす約束をするなど、時には学校と一緒に作戦を考えます。

 葛藤が続いて疲れ果ててしまうと、不登校になります。その場合は、心の元気を回復することが優先になります。自宅でしっかり休んで、まずは遊べる元気を取り戻します。登校したい気持ちが出てきたら、どうしたら楽しく学校に行けるか作戦会議をします。見立てがつかない、いい作戦が思いつかない、だんだん元気がなくなっていく、親も疲れてくる時は周りの人の力を借りましょう。学校や地域の専門家、医療機関に相談してください。

石橋孝勇 琉球大学病院精神科神経科 (西原町)

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