肺に穴が開く「気胸」

肺に穴が開く「気胸」

2024年03月30日公開

15~25歳、痩せ型で背の高い男性に多く 再発も懸念、十分な治療を

 気胸という病気を聞いたことがありますか? 俗に「肺のパンク」と言われます。医学用語でブラという肺の弱い部分を持っている人が、そのブラに何かのきっかけで穴が開き、肺から空気が漏れて胸の中に空気がたまり、胸の痛みや息苦しさを引き起こす状態です。運動やせき、息こらえなどがきっかけになることもあれば、安静にしていて急に胸の痛みが出て発症する人もいます。

 気胸の程度が強いと緊張性気胸といって、心臓や大きな血管が圧迫されることで血液の流れが滞り、命にかかわる状態になることがあります。最初の治療として、肋骨(ろっこつ)の間から胸の中に管を入れて胸の中にたまった空気を外に逃がす処置をします。

 気胸に出血を伴って胸の中に大量出血を引き起こす血気胸という危険な状態も起こり得ます。胸の中に1~2リットル、それ以上の出血を起こすこともあり、緊急手術が必要になるケースもあります。

 気胸は15~25歳ぐらいの男性に多く、痩せ形で背の高い体形の人に肺のブラができやすいことが分かっています。このため「モデル病」「イケメン病」と言われることもあるようです。繰り返しやすい病気なので、手術を含め十分な治療を検討する必要があります。手術を受けても再発することがあるのが、この病気の難しいところです。

 それ以外にもたばこによって肺が弱り、気胸を起こす人もいます。長年の喫煙の影響で40代以降から高齢者にこのタイプの気胸は多くなります。喫煙者は男性の方が多いことから、男性の患者さんが多いです。

 一方、女性で気胸を起こした人は、何か特別な原因で肺が弱っていないかを疑う必要があります。いくつかの女性特有の疾患や遺伝性疾患、腫瘍性病変に引き続いて気胸を起こすことがあります。

 胸痛は気胸以外にも心臓や大血管の異常の最初の症状であることも多いです。強い胸の痛みがある場合、特に急に起きた胸の痛みやその痛みが持続する時は、早めに病院を受診するようにしてください。

嘉数修 中頭病院呼吸器外科 (沖縄市)

新着記事


リニューアル前のサイトはこちら