腹痛や血便、おしっこに異変 憩室炎の症状

腹痛や血便、おしっこに異変 憩室炎の症状

2024年04月04日公開

慢性便秘や喫煙などが原因 悪化前に診察を

 おなかの痛みや血便、はたまたおしっこをすると空気やかすのようなものが混じる。このような症状を起こす憩室炎という病気をご存じですか。

 憩室とは大腸の腸管壁の一部が袋状に突出したものです。慢性便秘、食物繊維の少ない赤身肉の多い食生活、肥満、喫煙、遺伝など原因は多様です。

 腸管圧が上がることで形成され、加齢とともに増えていき、憩室症と呼ばれます。欧米化した食生活や高齢社会においては決して珍しくない病気で、無症状であれば経過観察でいいのです。

 しかし、出血や炎症を起こす場合は問題となります。今回は炎症を起こし憩室炎になった場合に焦点を当ててみましょう。

 症状の強さによっては、入院し絶食や抗菌薬治療が必要となりますし、腸が破れていると緊急手術が必要となることもあります。炎症が落ち着いたら、大腸カメラで憩室症以外にがんなど他の病気がないか確認することが勧められます。

 さらに憩室炎の困ったところは繰り返す可能性があること。ひどい炎症や同じ場所で繰り返し起こした場合は、大腸の近くにあるぼうこうに通り道ができてしまう結腸ぼうこうろうという状態になることがあります。

 便やおならが尿に混じって出てくるという症状として現れます。ばい菌の塊である便が尿道を通るので、おしっこの感染症になりますし、おなかの中で炎症が広がれば、点滴など保存的治療で治すことは難しく、手術が必要となります。

 憩室がある部分の大腸の切除、場合によってはぼうこうの一部も合併切除が必要になることもあり、こじらせるほど体への負担が大きくなってしまいます。

 手術のアプローチとして小さな創で行う腹腔(ふくくう)鏡下手術もありますので、炎症がひどくなり過ぎないうちに病院で相談することが大事です。

 憩室炎は繰り返すものです。これまで経験がある方はもちろん、腹痛、血便、おしっこに空気やかすが混じる場合は、我慢せずに病院を受診しましょう。

新里千明 那覇市立病院消化器外科(那覇市)

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