不眠症に悩む人へ 医師がお勧めする自己催眠療法

不眠症に悩む人へ 医師がお勧めする自己催眠療法

2024年02月14日公開

睡眠薬を処方する前に試してほしい改善方法

 精神科や心療内科には多くの悩みを抱えた患者さんが来院します。不眠を主訴とすることが多いのですが、背景にはうつ病や統合失調症、アルコール依存症など種々の精神疾患が潜んでいることが少なくありません。

 もちろん、単純な不眠症である患者さんもいますが、その多くは神経症性不眠で、特に高齢になると夜間の尿意で起こされて、その後再入眠するのが困難になり不眠感を強く訴えて来院されたりします。私も後期高齢者となった現在、同じような経験をしているのでその気持ちはよく分かります。

 しかし、安易に睡眠薬を処方しないように心がけています。私自身も睡眠時無呼吸症候群で不眠症ですが、睡眠薬を一切飲まないようにしています。

 睡眠時無呼吸症候群の特徴的な症状は、夜間の大きないびきと昼間の耐え難い眠気です。睡眠に入ると舌根が沈下して気道をふさぎ、窒息して大きないびきとともに呼吸を取り戻すことを繰り返しています。もし睡眠薬を服用して呼吸が止まったまま眠り続けたら、永遠に眠りかねません。

 うつ病や統合失調症など、不眠が症状に悪影響を与える病でなければ、あえて睡眠薬を服用せず、どうしても不眠が続いて苦しい時のみ頓服的に睡眠薬は使用するべきです。安易に睡眠薬に頼ると、薬がなければ眠れなくなり、また耐性ができて次第に量も増え、肝機能障害や認知症の副作用が出る恐れもあります。

 健康な人が不眠症になる大きな原因は騒音や悪臭、気温、湿度などの環境要因か、テレビやゲーム、読書、刺激的音楽、職場や家庭の人間関係からくるストレスによる脳の興奮状態が入眠時まで引きずられている場合であると考えられます。安易に薬物に頼らず、睡眠環境の改善やストレスの改善に努めるべきです。私は睡眠薬ではなく、自己催眠療法(自律訓練法)を患者さんに勧めています。

 不眠症にお悩みの方は、睡眠薬ではなく、周りの環境を変えることや自己催眠療法を試してみてはいかがでしょうか。

仲本政雄 博愛病院(南風原町)

新着記事


リニューアル前のサイトはこちら