膵嚢胞は膵がんの高危険群 

膵嚢胞は膵がんの高危険群 

2024年02月28日 公開

二次検診、忘れず受診を

 膵臓(すいぞう)のがん、膵がんは10年生存率が6・5%と最も予後不良ながんとして知られています(2021年国立がん研究センター発表データ)。診断が難しいとされる膵がんですが、膵がんになりやすい危険因子に注目し膵がんを早期に診断する取り組みが広く普及してきています。腹部超音波検査で「膵嚢胞(すいのうほう)」や「膵管(すいかん)拡張」が発見された場合に、膵がんの高危険群として半年ごとの間隔で画像検査を継続して行う方法です。

 膵臓は沈黙の臓器といわれており、症状が出てからの受診では手術ができない進行がんとして診断されることがほとんどです。無症状のうちに診断する必要がありますが、そのためには膵がんになりやすい方を拾い上げて定期的な画像検査を行う必要があります。その拾い上げる基準が「膵嚢胞」や「膵管拡張」です。

 21年の沖縄県の膵がん診断のうち、健診・人間ドックがきっかけとなったのは4.6%でした。他の病気の経過観察中に偶然発見されたのが33.3%であり、無症状での診断例が4割未満と非常に少ないです(沖縄県院内がん登録集計報告書 21年症例)。

 健診や人間ドックで「膵嚢胞」や「膵管拡張」が発見されても、無症状であること、すぐには治療対象とはならないことから、二次検診を受診されない方が多くいます。

 糖尿病や喫煙、大量飲酒、肥満、膵がんの家族歴などの膵がん危険因子が全くなくても、「膵嚢胞」がある場合は膵がんになりやすい高危険群のため、定期的な画像検査が重要であり二次検診の受診が必要です。画像検査としてはMRIや超音波内視鏡検査を行いますので、専門施設への受診が勧められます。

 「膵嚢胞」や「膵管拡張」を有する方は、膵がんの高危険群です。定期的な画像検査を行うことで膵がんの早期診断ができ、長期の予後が期待できるので、健診で要精査となり紹介状が出ている方は、忘れずに二次検診を受診しましょう。

森英輝 中頭病院 消化器内科 (沖縄市登川)

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