人の目気になる病「統合失調症」

人の目気になる病「統合失調症」

2024年04月10日 公開

 早期発見、治療が肝心

 人の目が気になるというよりは、気にする病といった方がふさわしいかもしれない病に、統合失調症があります。特に、多感な時期にたまたま人前で何らかの失敗をして笑われたり、恥ずかしい思いをしたり、あるいは他者とけんかした後に、他者やその関係者の思惑を気にするようになります。他の人にとってはそんなに気にならない言動が、「自分のことを言っているのではないか」「相手に嫌がられているのではないか」「嫌われているのではないか」「バカにされているのではないか」などと、気に病む方がおられます。 その思いが高じると、相手の言動の一つ一つが自分を嘲笑しているように思えたり、非難しているように思えたりしやすいものです。しまいには、相手がそばにいなくても自分を非難する声が聞こえてきたり(幻聴)、自分が終始見張られている気がしたりして、夜間もおちおち眠れず精神的に参ってしまい、いわゆるノイローゼ状態となります。

 ノイローゼ状態をそのまま放置すると、その思い(被害妄想)はますますひどくなり回復がとても困難となります。100人に1人は一生に一度そのような状態を経験するといわれております。特に、生真面目な人に多いようです。

 社会的動物といわれている人間は、人に嫌われたくない、バカにされたくない、仲間外れにされたくないという気持ちを持っているものです。とりわけ、日本人にはその傾向が強いように思えます。

 人は全能の神様ではないので、誰しも失敗したり、過ちを起こしたり、けんかしたりするものです。大事なのはそういう気持ちをいつまでも気にして引きずらないことです。

 幸い現在では、ノイローゼ状態になった場合でも、軽い精神安定剤で精神的安定を取り戻し、回復するケースが多くなっております。ただ、治療が遅れれば遅れるほど回復は困難となります。

 どんな病気でも早期発見、早期治療が肝心です。

仲本政雄 博愛病院 内科・精神科(南風原町)

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