その症状、IBSかも? 生活習慣が治療の第一歩

その症状、IBSかも? 生活習慣が治療の第一歩

2024年04月03日 公開

 みなさんは、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndromeの頭文字を取ってIBSと呼びます)を知っていますか?

 IBSとは、血液検査や内視鏡検査で腫瘍や炎症などの特別な異常がないにもかかわらず、おなかの痛みや不快感、下痢、便秘などの便通の異常が数か月以上も続く病気です。

 命にかかわるような病気ではないのですが、おなかの痛み、便秘・下痢、不安などの症状のために日常生活に支障をきたしますので、大変です。日本人では人口の10%程度にこの病気があるといわれています。女性に多く、年齢とともに減ってくることが分かっています。

 IBSの原因は正確にはわかっていませんが、腸の知覚過敏が関係しているといわれています。腸(小腸や大腸)は食べ物を消化吸収し、排泄(はいせつ)するために、絶えず伸びたり縮んだりしています。これらの腸の運動や知覚は、脳と腸の間の情報交換により制御されていますが、腸の知覚過敏があると、腸の伸び縮みを過剰な痛みとして感じてしまいます。これがIBSの特徴です。

 IBSの診断には国際的にRomeIVという基準が用いられます。繰り返す腹痛が、最近3カ月で平均して少なくとも週に1日あり、それに加えて(1)排便によって症状が和らぐ(2)排便頻度の変化を伴う(増えたり減ったりする)(3)便形状の変化を伴う(柔らかくなったり硬くなったりする)―などの特徴があると診断されます。もちろん、大腸がんなどの悪性腫瘍や、炎症性腸疾患ではないことを確認することが前提です。

 IBSの治療の第一歩は、生活習慣の改善です。暴飲暴食を避け、睡眠を十分取り、刺激物、高脂肪の食事、アルコールを控えてください。それでも改善がないときは、薬物療法の適応です。IBSには、下痢が続くタイプ、便秘と下痢を繰り返すタイプ、痛みが目立つタイプ、不安が強いタイプなどがありますので、それぞれの特徴に応じて薬剤を調整します。

 自分もIBSかもしれないと思った方は、かかりつけ医やお近くの内科、消化器内科に相談ください。

石原健二 中頭病院 消化器内科(沖縄市字登川)

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