「健康」を考える 今に目を向け、実践を

「健康」を考える 今に目を向け、実践を

2023年11月08日 公開

 皆さんは「健康」と感じるために、何が重要だと考えますか。「病気がないこと」でしょうか。「おいしく飲食できること」または「体が丈夫なこと」でしょうか。

 厚生労働省の2014年の「健康意識に関する調査」では、この他に「生きがいを感じること」や「仕事がうまくいくこと」、「他人から認められること」などの意見もありました。世界保健機構(WHO)では1947年に「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます」(日本WHO協会訳)と定義しています。

 ここでいう「満たされた状態」は、肉体的、精神的、社会的な要素それぞれが「満たされた状態」とすると、誰も健康でなくなるという批判があります。健康が「病気でないとか、弱っていないということではなく」という注釈を踏まえると、「満たされた状態」は、三つの要素が「調和のとれた状態」とする解釈が必要です。

 このような全人的な健康(ホリスティックヘルス)を採用するならば、たとえ肉体が衰えたとしても、今ある能力を発揮し、社会的に機能を果たし、そして精神的に満たされる状態を目指すことができるという希望が生まれます。そこから自分にとっての健康を改めて目指せるのではないでしょうか。

 仏教の天台宗開祖、最澄が残した言葉で「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」とあります。「誰も注目しないような日常的な物事に、きちんと取り組む人こそ尊い人だ」という意味です。私はこの言葉を健康という観点から「今ある力に目を向け、自分にできることを一つ一つ行いなさい」と解釈しています。皆さんにとっての「健康」とは何ですか。その健康のために、今できることは何ですか。

 健康やヘルスリテラシーについてさらに知りたい方は、ウェブページhttps://www.healthliteracy.jp/(聖路加国際大学看護情報学研究室教授の中山和弘氏運営)がお薦めです。

山入端浩之 ファミリークリニックきたなかぐすく 家庭医療専門医(北中城村)

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