「貯筋」のすすめ 「歩くこと」積極的に

「貯筋」のすすめ 「歩くこと」積極的に

2023年10月11日 公開

 わが国の65歳以上の人口は、2022年9月現在で3627万人となり、全人口の約29%を占め、日本の高齢化は急速に進行しています。着目したいのは、健康寿命の重要性です。健康寿命とは、寿命が延長しても、身体を健康な状態に保ち、自分らしく生きることができる期間を指します。高齢化の進む中で、健康寿命を維持することは、個人の幸福度を高め、社会全体の経済的負担を軽減するために非常に重要です。

 さて、フレイル、ロコモティブ・シンドローム、サルコペニアは、高齢者における身体機能の低下を表す用語です。フレイルは、筋力低下や体力低下、認知機能低下、栄養不良などが複合的に現れる状態です。ロコモティブ・シンドロームとサルコペニアは、関節可動域の低減、筋肉量や筋力の低下により、歩行障害や転倒、骨折などのリスクが高まる状態を指します。

 これらが発生すると、健康寿命の短縮や要介護状態への移行リスクが高まります。この状態を予防するためには、適度な運動や栄養バランスの良い食事、適切な睡眠、ストレスの軽減などが大切です。

 そこで、大切なキーワードは「貯筋」。「貯筋」とは、身体に筋肉を蓄えることです。お金をためる貯金と同様、蓄えるといいことがあります。異なる点は、貯金は使えば減るし、使わなければ残りますが、貯筋は「筋肉を使うと増える! 使わないと減る!」ことです。運動で貯筋した人は、体力の衰えのスピードを遅らせることができ、長く元気で過ごせるでしょう。

 まず、おすすめは歩くこと。先日、京都大の研究者が、1日8千歩以上を週1~2日歩く人は、週3~7日歩く人と同程度、死亡リスクが減少していたとの分析結果を発表しました。「運動する時間を毎日取れなくても、週末などに数日だけ運動すれば、健康の維持が期待できる」としています。私自身も、外科医として長くメスを握るために、日々「貯筋」を楽しんでいます。

新城憲、医療法人こころ満足会 形成外科KC 形成外科

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