肝臓の病気について

肝臓の病気について

2022年12月21日 公開

症状出にくいのが特徴

 肝臓はおなかの上、みぞおちから右側にある1キロ~1・5キロくらいの大きな塊の臓器です。ちなみにみぞおちの左側には胃袋があり、肝臓は胃袋を出てすぐの十二指腸と、胆管という管でつながっています。

 心臓や肺と同様にヒトの命を維持するために重要な臓器で、腸から吸収した栄養分を有効なものに変えたり、胆汁と呼ばれる消化液を作ったり、有害なものを解毒したり、糖分を作って蓄えたりなど、重要かつ複雑な働きをもっています。 肝臓の病気としては肝炎・肝硬変・肝がんなどがありますが、俗に「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気になってすぐには全く症状が出ないことが特徴です。肝炎が進むと肝硬変となり、症状としては黄疸・腹水・全身倦怠感などですが、気づいた時にはかなり進行して治療が難しくなることもよくあります。原因としてはB型肝炎やC型肝炎などのウイルスがよく知られていますが、薬の進歩によってこれらの病気は治ることが多くなっています。

 現在問題となっているのはアルコール性肝硬変、また、お酒を飲まなくてもいわゆるメタボに伴う脂肪肝を原因とした肝硬変で、肝臓病以外でもメタボ関連の病気は沖縄でも急増しており、長寿県から脱落してしまった最大の要因とされています。

 その他、自己抗体といって、本来ウイルスなどの外敵を攻撃するはずのものが自分自身を攻撃してしまう「自己免疫疾患」もあります。関節リウマチなどがよく知られていますが、肝臓でも「自己免疫性肝炎」、「原発性胆汁性胆管炎」や「原発性硬化性胆管炎」などがあります。

 肝臓にできるがんとしては、「肝細胞がん」が最も多く、胆汁を流す胆管にできる「胆管がん」もあります。がんの治療は手術以外にも抗がん剤治療や放射線治療、さらに「動脈塞栓(そくせん)術」と呼ばれる治療など多彩であり、肝臓の働きとがんの大きさや数で決まります。

 いずれにしろ肝臓の病気は専門性が高いため、専門医のいる総合病院で治療されることをおすすめします。

高槻光寿、琉球大学病院 外科

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