日中の眠気の原因、睡眠時無呼吸症とは?

日中の眠気の原因、睡眠時無呼吸症とは?

2023年10月12日公開

眠りの質が悪いと糖尿病などの原因に

 私は琉球大学の医学部で睡眠障害の講義を担当しています。午前中に比べて午後の講義では、居眠りをする医学生が目立ちます。これには生理的な理由があって、人は起床して6~8時間経過すると、体温が低下して一度眠気のピークを迎えます。私の講義がつまらなければさらに眠気は強まります。

 強い眠気が一日中続く場合は睡眠不足かもしれません。必要な睡眠時間は個人差が大きく、年齢によって異なりますが、望ましい睡眠時間の目安は小学生では10時間前後、中高生では8~9時間、成人では7~8時間といわれています。

 「寝だめ」という言葉がありますが、実際には睡眠はためることはできません。しかし睡眠不足が続くと負債として蓄積され、日中の眠気や倦怠(けんたい)感などが強くなります。これは「睡眠負債」と呼ばれており、負債が大きいと長く寝たとしても数日では改善せず、負債がゼロになるまで数週間以上かかることがあります。

 睡眠は長さだけでなくリズムも重要です。夜更かしや不規則な生活が続くと、睡眠相が後退し、日中の眠気が強くなります。このような夜型傾向や昼夜逆転では夕方以降になると眠気は消失し、夜間は逆に寝つきが悪くなります。規則正しい睡眠・覚醒リズムに戻す必要がありますが、睡眠負債と同様に睡眠リズムの改善には数週間から数カ月要することがあります。

 さらに日中の眠気の原因となる睡眠障害で気を付けてほしいのが睡眠時無呼吸症です。肥満やへんとう肥大などで気道が閉塞(へいそく)すると、睡眠中の呼吸状態が悪化し、眠りの質が悪くなることで日中の眠気だけでなく、高血圧や糖尿病などの危険因子となります。

 その他にも覚醒物質であるオレキシンが欠乏することで強い眠気を生じるナルコレプシーや、冬眠のように長時間眠り続ける時期が周期的に出現するクライネ・レビン症候群など、さまざまな疾患で眠気が生じることがあります。眠気でお困りの場合は睡眠専門の医療機関の受診を検討してください。

普天間国博 琉球大学病院精神神経科(西原町)

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