10代での出生率が高い沖縄

10代での出生率が高い沖縄

2023年09月14日公開

全国平均の2倍 早産のリスクや原因は? 若年妊婦へ支援の充実を

 「適切な出産の時期」を正期産といい、妊娠37週0日から41週6日の期間を言います。正期産よりも早く産まれるのは早産で、妊娠22週0日から36週6日までの期間を言います。

 世界全体の早産率は11%なのに対し、日本は5%と世界トップクラスに低いです。しかし、その日本でも20人に1人は早産となっているのが現状です。沖縄県は出生率が全国1位ですが、全国よりも低出生体重児が多く、早産率が高いことはあまり知られていません。

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 早産だと呼吸障害や脳出血、感染症、注意欠陥多動障害や自閉症スペクトラム障害、さらに将来の慢性疾患(高血圧、糖尿病、慢性腎臓病)などのリスクも増えます。

 早産は、新生児集中治療室(NICU)がある施設での出産となります。県内にはNICUを有する病院が離島も含めて9施設ありますが、そのうち妊娠22週以降のより早い週数の新生児を管理できるのは琉球大学病院、県立中部病院、県立南部医療センター・こども医療センターの3施設だけです。

 この3施設で出産した妊婦のデータから早産の原因について調査しました。早産になった妊婦と正期産の妊婦を比較すると、妊娠週数により早産のリスク因子が異なることが分かりました。

 22週から27週では20歳未満の若年妊婦、28週から33週では子宮頸部(けいぶ)円すい切除術(初期の子宮頸がんや前がん病変で子宮の入り口を円すい形に切り取る手術)の既往がある妊婦がリスク因子となりました。早産の経験がある妊婦は、22週から36週のどの早産の期間でもリスク因子となりました。

 より早い週数での早産となった若年妊婦に関し、沖縄は10代の出生率が高く、全国が0・8%なのに対し1・9%と約2倍になっています。早産予防を含め若年妊婦への支援の充実を図るため、家庭・学校・地域の連携強化が必要です。県を挙げてリスク因子を有する妊婦に対して重点的な介入をするとともに、早産の原因についてのさらなる調査が必要です。

金城淑乃、琉球大学病院産婦人科(西原町)

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