80歳でも歩いて外出 「フレイル・ロコモ」を克服するには?

80歳でも歩いて外出 「フレイル・ロコモ」を克服するには?

2023年08月24日公開

 「フレイル・ロコモ」という言葉をご存じでしょうか。フレイルとは日本老年医学会が提唱した概念で、老化に伴い抵抗力が弱まり体力が低下する「虚弱」を意味する言葉です。肉体的・精神的・社会的虚弱の三つに分けられます。

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 ロコモ(ロコモティブシンドロームの略)とは日本整形外科学会が提唱した概念で、関節などの運動機能が低下し、移動が困難なことを意味します。

 この二つでフレイル・ロコモと称し、生活機能が低下して健康を損ねたり、要介護の状態になったりすることを示します。

 世界に類を見ない日本の超高齢社会において、フレイル・ロコモ克服のため、国内の各学会が医学会宣言を発し、80歳でも歩いて外出できる「80Go(ハチマルゴー)」運動を提案しています。

 沖縄県の現状を見てみると、2020年の都道府県別平均寿命で男性が前回の36位から43位に、女性は7位から16位に後退し、健康長寿社会の急激な崩壊を意味する「沖縄クライシス」がさらに悪化の道をたどっているのです。このままでは男性が最下位になるのは時間の問題かもしれません。健康上問題なく過ごす健康寿命も、21年の発表で男性は26位から40位、女性は10位から25位に順位を落としているのです。

 原因は言うに及ばず、米国型食習慣と運動不足からくる肥満症や糖尿病の激増にあり、コロナ禍でますます運動不足に拍車がかかっています。そして大腿(だいたい)骨近位部骨折発生率が全国一高い沖縄は、高齢化に伴いさらなる増加が危惧されます。

 昨年、県整形外科医会が各病院、整形クリニックに実施したアンケートではフレイルの認知度が7・0%、ロコモが21・6%とかなり低いものでした。認知度を上げるのはもちろん、県民一人一人が現状を自分事として捉え、若い頃から健康管理に取り組むことが重要です。

 今後、内科医会と整形外科医会は協力し合い、沖縄県の健康寿命を延ばすべく、フレイル・ロコモ克服の啓発活動に従事することが求められます。

永山盛隆 友愛医療センター整形外科(豊見城市)

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