汗が極端に減った…それ「無汗症」かも

汗が極端に減った…それ「無汗症」かも

2023年08月10日公開

熱中症おこす危険も まず診断を

 「無汗症」という病気をご存じでしょうか。その名の通り、汗をかくことができない病気です。汗は体温を調節する、体を冷やす重要な役割があるため、無汗症になると運動時や高温多湿の環境下で体に熱がこもり、体温上昇、ほてり、全身倦怠(けんたい)感・脱力感、頭痛や吐き気といったいわゆる「熱中症」を起こしやすくなります。時に命に危険が及ぶケースもあります。

 無汗症は生まれつきの先天性と遺伝性、後天性に分けられます。先天性・遺伝性の無汗症には、汗を出すための汗腺が生まれつきないか、低形成の「無汗・低汗性外胚葉形成不全症」や、汗腺はあるものの神経の異常による無汗と痛みを感じない「先天性無痛無汗症」などがあります。

 後天性の無汗症には病気や薬、脊髄神経損傷などが原因の「続発性無汗症」と、そのような誘因がなく原因が分からない「特発性無汗症」があります。特に全身性の場合は「特発性後天性全身性無汗症」と言われ、指定難病になっています。

 特発性後天性無汗症は欧米人に比べ日本人、中でも若年男性に多いとされています。沖縄でも患者さんがみられます。

 診断には発汗テストをします。汗をかくと色が変わる薬を全身に塗り、高温多湿の室内で過ごしてもらい、発汗の有無や程度、無汗が体の一部か全身かを調べます。

 無汗症を引き起こす病気が隠れていないか、汗腺に異常がないかを調べるために、必要に応じて自律神経、血液・画像、皮膚組織などの検査を行います。診断後は熱中症予防の対策を取ってもらいながら、生活や仕事に支障をきたす場合は治療を考えます。

 特発性後天性無汗症の治療はまだ十分に確立されていませんが、ステロイドや免疫抑制剤による治療をします。

 まずは診断が大切です。運動時や高温多湿の環境にいる際に、以前よりも汗の量が極端に減っている、全然汗をかかなくなった、熱中症の症状を繰り返しているなどという場合は、皮膚科の受診を検討してください。

岡本有香 国立療養所沖縄愛楽園皮膚科(名護市)

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