丸い背中の高齢・中高年が起こす健康障害とは?

丸い背中の高齢・中高年が起こす健康障害とは?

2023年03月24日公開

若い時から筋腱を伸ばし正しい姿勢

 街を歩くと背中の丸くなった高齢者が目に入ってきます。飲み屋のカウンターでは背中の丸くなった中高年の姿もしばしば見ます。このような姿勢は健康にどのように影響するのでしょうか?

 腰を前かがみにした状態で何時間も作業をし続けると、後からさまざまな痛みが生じます。頸部(けいぶ)痛や肩の痛み、腰痛、膝痛となり、その筋骨格系の痛みで日常動作も低下してしまうのはとても残念なことです。

 背中の丸い高齢・中高年の方にはどんなことが起きているのでしょうか? 背中が丸くなると、反対側の腹筋は縮んだ状態になります。その状態が長く続くと腹筋は伸びなくなり、さらに前かがみの姿勢は進行します。そうなると重心は前に移動し、前に倒れそうになりますが、下肢筋力があれば何とか倒れずにこらえることができます。しかし、これも筋力あってのこと。老化によって下肢筋の筋力が落ちると、転倒の危険が増えていきます。

 腰の曲がった姿勢が続くと、次に膝が曲がってきます。その影響で股関節も徐々に伸びにくくなり、曲がってきます。こうして一連の関節にゆがみが出てくるのです。同じ姿勢を続けることで起きる筋骨格系への負担が連鎖反応的に筋腱(けん)短縮を引き起こすのです。

 下肢だけではありません。頭蓋骨は前の方へ傾き、その頭蓋骨を支える頸部後筋に負担がかかり、慢性的な頸部のこりや後頭部のこり、痛みも出現してきます。この筋骨格系の痛みはストレスとして体に侵襲し、自律神経系・内分泌系の乱れ、そして健康障害を引き起こしていくのです。

 こうならないために、どうすればいいのでしょうか? 若い時から各関節の筋腱を伸ばし、姿勢を正しい位置に戻していく習慣を身につけることが大切です。継続してストレッチすることで、縮まった筋腱が伸びる可能性があります。

 ストレッチは仕事の合間に何度でもできる体操です。継続は力なりです。身近なことから健康増進に取り組みましょう。

本永英治 県立宮古病院リハビリテーション科(宮古島市)

新着記事


リニューアル前のサイトはこちら