非常に身近な病気の乳がん

非常に身近な病気の乳がん

2023年01月12日公開

検診で早期発見・治療を

 皆さま乳がん検診を受けていますか? しこりが触れる前に乳がんを発見し治療してしまうこと、これは患者さんの身体的、精神的そして経済的負担を小さくするばかりでなく、何よりも乳がん死亡率を下げることに役立っています。

 乳がん検診をちゅうちょする理由として「触診は嫌だ」「マンモグラフィーは痛い」「要精査の通知が怖い」などと聞きます。これらの心配について説明いたします。

 まず触診ですが、最近の乳がん検診では触診はあまり採用されていません。触診より画像検査の方が質が良いというデータがそろったからです。ただ、全ての乳がん検診で触診を完全に廃止しているというわけではないですので、事前に確認するといいと思います。

 マンモグラフィーの痛みについては、残念ながら仕方のないことかもしれません。乳房を5センチ程度の厚さまで圧迫しますので、やはり痛いと思います。1年あるいは2年に1回の痛みです。なんとか我慢していただけないでしょうか。閉経前の方でしたら、月経前の乳腺が張る時期はどうしても痛みが強いので、月経後をお勧めします。

 次に要精査の通知に関して、詳しく説明します。乳がん検診の結果はカテゴリーという分類で報告されます。カテゴリーは1~5まであり、1、2は要精査とはなりません。つまり、乳がんの可能性はほぼないということです。カテゴリー3から要精査となり、病院受診の紹介状が同封されます。

 カテゴリー3で実際に乳がんが見つかる可能性は5~10%程度、カテゴリー4で30~50%程度、カテゴリー5でほぼ100%となります。9割以上の方はカテゴリー3で受診します。要精査と乳がんの診断は同義でないことをぜひ知ってほしいです。

 コロナ禍による病院機能停止、検診停止の影響で、乳がんの発見が遅れ、乳がん全体のステージが上がっているという報告もあります。乳がんは非常に身近な病気です。ぜひとも検診へ足を運んでください。

野村寛徳 琉球大学病院第一外科(西原町)

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