年々増加している「胆石」、成人の10人に1人保有

年々増加している「胆石」、成人の10人に1人保有

2022年12月22日公開

過食や暴飲暴食は避けて

 胆道に石ができる病態を総称して胆石症と呼びます。日本人の胆石保有率は、食生活の欧米化や高齢化を背景に年々増加しており、現在では成人の10人に1人は胆石を持っています。胆石症では、みぞおちや右上腹部に疝(せん)痛(胆石発作)を伴うのが特徴的ですが、自覚症状を伴わず、検診などで偶然に発見される場合もあります。

 特に、胆のうに胆石を認める胆のう結石症では、約2~3割の患者さんが無症状です。無症状の胆石を治療すべきかどうかは、胆石が胆のうにあるのか、胆管(総胆管)にあるかによって大きく異なります。

 無症状の胆のう結石でその後痛みなどの症状が出現する確率は年に2~3%とされ、多くの場合は無症状のまま経過します。そのため、年1回の腹部超音波検査による経過観察が推奨されます。ただし、胆のうに著しい萎縮や変形がある場合や、胆石が多くある場合は、超音波検査で胆のうの状態を十分に観察することができません。胆のうがんが隠れている可能性もあることから、無症状であっても手術(胆のう摘出術)が勧められることがあります。

 他方、胆石が総胆管の中にある総胆管結石では急性胆管炎を発症することが多いため、無症状であっても治療を受けることが必要です。急性胆管炎は重症化しやすく、生命に関わる危険な状態になることもあります。治療は、内視鏡を使って総胆管の十二指腸への出口から胆石を取り除く方法が広く行われています。総胆管と胆のうの両方に胆石を認める場合には、内視鏡で総胆管の胆石を取り除いた後、手術(胆のう摘出術)が必要となることがあります。

 胆石症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか? 胆石症は生活習慣と密接に関連するため、過食や暴食暴飲を避けることが重要です。食事の面からはコレステロールの制限、脂質の適量摂取、タンパク質・食物繊維の摂取による便秘の予防、規則的な食生活、胃酸の過剰分泌を引き起こすアルコールや香辛料などの過度の摂取の制限が挙げられます。

川俣太 与那原中央病院消化器外科(与那原町)

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