年齢とともに増加する夜間頻尿

年齢とともに増加する夜間頻尿

2022年12月08日公開

転倒リスクで死亡率も増 水分量や運動見直して

 私たち泌尿器科医が診る病気は、がん、排尿障害、腎移植、骨盤臓器脱、尿路結石、小児領域などさまざまです。今回は排尿障害の中から夜間頻尿についてお伝えしたいと思います。

 就寝中に排尿で1回以上起きなければならない状態を夜間頻尿と呼びます。年齢とともに増加し、夜間2回以上の頻尿を認める割合は、70代で5~6割、80歳以上では7~8割と言われます。高齢者は夜間のトイレが多くなると転倒リスクが上がり、健康寿命に影響します。70歳以上で夜間排尿が2回以上の方は、1回以下の方に比べ骨折が2倍、死亡率が1・6倍になるとも報告されています。

 夜間頻尿の原因を大きく分けると、(1)夜間尿量の増加(2)ぼうこう容量の低下(3)睡眠障害-が挙げられます。まずは(1)についてですが、排尿量の増加は単純に水分の過剰摂取である場合が多いです。排尿のバランスが崩れる場合もあり、これは心臓や腎臓機能の低下、あるいはホルモン分泌低下によって生じ得ます。夜中に多く尿を生産してしまう病態です。

 (2)については、過活動ぼうこうや前立腺肥大症などが該当し、少ない尿量で尿意を感じるようになります。ただし、これらは通常昼間にも頻尿を自覚する場合が多いです。

 最後に(3)ですが、睡眠が浅くなると軽微な尿意で目が覚めてしまいます。夜間の中途覚醒はぼうこう内圧を高め、さらに頻尿を悪化させます。また生活リズムが昼夜逆転し、不眠の悪循環へとつながります。睡眠障害の原因は加齢のみならず、生活習慣やカフェイン摂取、睡眠時無呼吸症など多岐にわたります。

 家庭でできる対策として、まずは1日の水分摂取量を確認してみてください。食事以外の水分量として、体重1キロ当たり20ミリリットル程度が推奨されています。例えば、50キロの人だと1リットルが目安です。食事や運動も見直し、規則正しい生活を送りましょう。最近では余分な水分貯留を予防するため、弾性ストッキングの着用も推奨されています。それでも改善がない場合は泌尿器科にご相談ください。

泉惠一朗 琉球大学病院腎泌尿器外科(西原町)

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