高齢になると短くなる睡眠時間 8時間以上は必要?

高齢になると短くなる睡眠時間 8時間以上は必要?

2026年06月24日公開

時間より大切にするべき快眠のコツ、医師が助言

 「先生、夜に眠れないんです」と高齢の患者さんから相談を受けることがあります。聞いてみると、現役時代は午後11時に就寝し午前7時まで眠れていたそうです。しかし今は「8時間寝ないと体によくない」と考え、早い時間に床につくものの眠れず、布団の中で過ごす時間が長くなっているといいます。

 厚生労働省が2023年に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、高齢になると睡眠時間は短くなる傾向があると示されています。また、寝つきが悪くなる「入眠困難」、途中で目が覚める「中途覚醒」が増え、若いころに比べて深い睡眠も減少します。これは加齢による自然な変化であり、必ずしも病気を意味するわけではありません。

 問題は眠くないのに床で長い時間を過ごすことです。この習慣はかえって不眠を悪化させます。対策として勧められるのが「遅寝早起き」です。眠くならない午後9~10時に床に入るのではなく、眠気を感じる午後11時~午前0時に就寝し、朝は自然に目が覚めた時間に起きるようにします。さらに日中はウオーキングなどで体を動かす、といった工夫も効果的です。また30分以上の長い昼寝は夜の睡眠の質を低下させるばかりではなく、最近は認知機能の低下に関連するとの報告があります。

 そもそも睡眠の目的は、健康で充実した日中を過ごすことにあります。高齢者には「きょういく、きょうよう」が大事とよく言われます。これは「今日行くところがある」「今日用事がある」という意味で、日中の活動が充実すると、自然とよい眠りにつながります。

 冒頭の患者さんは「早朝にウオーキングをし、日中は孫の送り迎えや家庭菜園を楽しみ、時々友人と食事に出かける」と話してくれました。私は「とても充実していますね。誰かと食事をすることは元気の秘訣(ひけつ)ですよ」と伝えた上で遅寝早起きを勧め、8時間眠れなくても問題はないとお話ししました。

 睡眠の悩みは人によってさまざまです。気になることがあれば、まずはかかりつけ医にお気軽にご相談ください。

名嘉村敬 名嘉村クリニック(浦添市)

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