健康状態が悪いと高まる安静時心拍数

健康状態が悪いと高まる安静時心拍数

2022年11月27日公開

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 皆さんは心拍数を測ったことがありますか。心拍数の測定は通常、自動血圧計や腕の動脈に触れることで計測します。最近ではスマートウオッチで計測される方も多いと思います。心拍数計測は活動量の指標として、一般の方のみならずアスリートにもしばしば用いられます。

 ところで、安静時の心拍数が高いのは「悪い」と感じられている方々が少なくないと思いますが、この点を分かりやすく解説しようと思います。

 心拍数は1分間の心臓の拍動回数を示しており、小児期を除く生涯を通じておおよそ60~80回(bpm)と一定で、大きく変化しません。しかし、健康状態により変動します。例えば、メタボリック症候群や心筋梗塞、心不全等の疾患を有する患者さんは、そうでない方よりも心拍数が高いことが分かっています。これらの患者さんの中でも、心拍数が高い方は入院や死亡のリスクが高いことも知られています。さらに心不全の患者さんに対し、薬剤で心拍数を低下させることにより、リスクを抑える治療が行われています。

 心拍数は食事とも関連があります。高カロリー、高脂肪の加工食品を持続的に摂取すると、交感神経活性を高進させ、心拍数を上昇させます。健康に良くないと考えられているジャンクフード、インスタントやレトルトの食品がそれに当たります。一方で、野菜が豊富で低カロリー高栄養価の地中海沿岸の料理や伝統的な沖縄料理は、心拍数を低下させる可能性があります。加えて、定期的な運動習慣は副交感神経活性を高進、交感神経活性を抑制して、安静時心拍数を低下させます。

 皆さんが何となく感じていた「安静時心拍数が高いのはよくない」という感覚は、おおよそ正しいです。安静時心拍数は簡単に計測が可能な上、健康状態を示す重要な指標の一つです。

 健康診断結果で示される血圧や体格指数(BMI)、コレステロール値、血糖値を気にされる方は少なくないでしょう。健康を管理する指標の一つとして、安静時心拍数を加えてもいいのではないでしょうか。

井上卓 おもろまちメディカルセンター循環器内科(那覇市)

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