お口のがん(口腔がん)

お口のがん(口腔がん)

2023年02月22日 公開

初期症状はしみる、痛む

 お口の痛み、しみる感じなどはしばしば経験されますが、お口の癌(がん)についてご存じですか? お口にできる癌を総称して「口腔癌(こうくうがん)」と呼びます。

 口腔癌は、すべての癌の1%ほどを占めています。患者数は近年増加しています。また、沖縄県の口腔癌の死亡率は全国平均に比べて高いです。

 口腔のはたらきは、呼吸する、飲み込むなど、私たちが生命を維持するために必要な機能のみならず、味を感じる、言葉をつくる、表情をつくるなどがあり、生活を楽しんだり、生活の質を保ったりするためにとても重要です。

 口腔癌の原因は、喫煙、大量の飲酒と言われています。本邦の研究では、喫煙により口腔癌の罹患リスクが2倍以上に、飲酒により1.8倍に増加していました。また、たばこを吸い、かつ飲酒量が多いグループの罹患リスクは4.1倍との結果でした。喫煙しないこと、飲酒量を控えることが口腔癌の予防のために重要です。

 他の原因として歯のトラブル、すなわち、齲歯(うし)(虫歯)、義歯の不適合なども関係しています。虫歯や義歯の慢性的な刺激が原因となるので、口腔内の衛生状態を保つことが重要です。

 口腔癌の初期の症状は、しみる、痛むなどがあります。これらは口内炎でもしばしば感じられることですが、このような症状がおよそ2週間以上続くときは要注意です。粘膜の表面が白や、赤くなる場合、癌の前の状態(前癌病変)であることがあります。また硬く、塊として触れると癌の可能性が高くなります。

 歯肉癌は、歯がぐらぐらする、抜歯後の傷の治りが悪いなど、口腔底癌、頬粘膜癌は、しみる、痛む、腫瘤が触れるなどが主な症状です。口腔癌のうち最も多いのは舌癌で、口腔癌全体の約6割を占めています。舌癌は舌の外側、縁にできることが多いです。

 口腔は、自分で見たり、触ったりすることができます。何か異常を感じたら、口内をよく見ること、触ってみることをお勧めします。そして、やはりおかしいなと感じたら、なるべく早めに医療機関を受診することをお勧めします。

須藤敏、県立中部病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科

新着記事


リニューアル前のサイトはこちら