若年性認知症 変調に気付いたら相談を

若年性認知症 変調に気付いたら相談を

2024年01月10日公開

家族よりも先に職場の同僚が気付くことも

 記憶や見当識、遂行機能、情報獲得、抑制、注意・集中、現実感、意欲などの能力を認知機能といいます。さまざまな原因で脳の細胞の働きが悪くなったためにこの認知機能が低下して、仕事や日常生活に支障が出ている状態が認知症です。

 厚生労働省によると、日本の認知症患者数は2025年には約700万人になるといいます。高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症すると「若年性認知症」といわれ、全国で3万5700人と推計されています。

 仕事の失敗が続いて、家族よりも先に職場が変調に気付くことが少なくありません。上司の方はほかのメンタルヘルス障がいと同様に本人や家族へ声をかけて、受診を促してください。

 職場の情報があると、診断の助けになります。認知症は進行性のため、多くの場合就労継続が困難になりますが、職場の理解と工夫で退職を遅らせることができるかもしれません。厚労省の「若年性認知症における治療と仕事の両立に関する手引き」が参考になります。

 認知症は総称であり、アルツハイマー病なのか、前頭側頭型認知症などの指定難病なのか、疾患によって治療や支援方針が異なります。より専門的な知見を有する大学病院や認知症疾患医療センターの受診が望ましいです。

 働き盛りでの発症で、生活費や子どもの教育費などの経済的問題が大きな課題となりがちです。経済的負担を軽くするため、自立支援医療制度や特定医療費(指定難病)制度が利用でき、納付要件を満たしていれば障がい年金の受給も可能です。

 生活支援のために障がい福祉サービスや介護保険サービスを利用することもできます。本人と家族だけでは情報収集や関係機関との調整は難しいので、総合的に支援する若年性認知症支援コーディネーターという専門スタッフがいます。

 自分、あるいは家族が「若年性認知症なのでは?」と不安な方がいらっしゃいましたら、お近くの認知症疾患医療センターにご相談ください。

国吉直美 嬉野が丘サマリヤ人病院(南風原町)

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