ロボット支援下手術

ロボット支援下手術

2023年02月23日公開

出血量の減少や術後入院期間の短縮など 患者の負担軽減に期待

 あなたは「ロボット」と聞いて何を思い浮かべますか。アニメや映画に登場するヒト型ロボットや「アイボ」に代表される犬型ロボットでしょうか。身近な家電ロボットとして自動的に掃除をしてくれる掃除ロボットもありますし、工場などで組み立て作業に用いられる多関節ロボットもあります。

 医療現場の外科手術で導入されている手術支援ロボットは、ロボットが自動で手術をするわけではありません。術者が両手足で完全にコントロールし、操作しています。

 腹腔(ふくくう)鏡下手術の低侵襲性に加え、高解像度の立体的視野と、多関節可動域を持つ鉗子(かんし)の有用性を融合させたのが、ロボット支援下手術です。ロボット支援下手術で、術者は手術台から離れた操作席に座ります。映像ボックスの高解像度の立体画像を見ながら両指と足先でカメラの方向とズームを調節し、手術します。

 ロボット支援下手術は広い視野の高解像度立体画像であるため、テレビモニターで平面画像を見る腹腔鏡下手術よりも、視野の奥行きと距離の把握が正確です。また、微細な解剖学的構造の確認が容易になります。

 ロボット支援下手術のロボットアームの指先は、円滑に屈曲回転し、広い可動域を持ちます。術者の手元の動きを繊細な動きに制御し、手ぶれを防止する機能があり、手術操作を支援しています。これらの機能により、腹腔鏡下手術と比較して、出血量の減少、術後入院期間の短縮、排尿障害の減少、手術で剥離した面のがん陽性率の減少が報告されています。

 一方で、鉗子把持(はじ)の力のかけ方などに繊細な調整が必要なため、術者と助手は、機器の開発元が義務付けるプログラムとトレーニングで修練します。

 手術用ロボットは、私たちが心身共に快適な生活を過ごせるように開発され、進化してきました。ロボット支援下手術は、がんを確実に取り除く手術をし、患者の負担を軽減する可能性にあふれた有用な手術法の一つとして期待されます。

仲地厚 友愛医療センター外科(豊見城市)

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