30歳以降の肥満者、沖縄で急増傾向

30歳以降の肥満者、沖縄で急増傾向

2023年02月10日公開

要因は運動不足と…

 新型コロナウイルスの世界的流行が始まって3年がたちました。沈静化に向けては変異株にも有効なワクチンの導入やウイルスの増殖を抑える飲み薬に期待がかかりますが、自粛・ステイホームの結果、国民の約3人に1人が体重増加し、筋力の低下・筋肉量の減少と肥満が合併する「サルコペニア肥満」の増加も懸念されています。

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 筋肉の減少と体脂肪増加が重なり合うと、心筋梗塞や脳血管障害などの重症の血管病を起こす危険性が一気に高まることが分かっています。県民は男女共に30歳以降、肥満者の割合が急増する傾向があり、その要因として運動不足、座り過ぎ生活が懸念されます。

 食べ過ぎや運動不足は、全身に慢性的な炎症を起こすことが知られており、脳や体の細胞は、新型コロナウイルス感染症やけがで生じる炎症と、食べ過ぎ、運動不足によって生じる炎症を厳密に区別することができません。炎症が長引くと、細胞の機能が悪影響を受け、糖尿病や脂肪肝、脂質異常症などの病気を起こしやすくなります。

 運動不足、座り過ぎ生活を解消するきっかけとして、アメリカ糖尿病協会(ADA)が推奨しているのが、30分以上の連続座位を避けて30分に1回は立ち上がること。3分程度、オフィスや家の中を歩いたり、軽いもも上げ運動、軽いスクワット運動をしたりするといいです。

 実際、オーストラリアから発表された論文によると、たった3分間の軽い運動でも血糖値は驚くほど低下します。職場や家庭(リモートワーク)でもスタンディング・デスクを導入し、立ったままで仕事をしたり食事をしたりすることが推奨されています。

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 私自身も執務室をスタンディング・デスクに切り替え、朝から夜まで1日中ずっと立ちっぱなしで仕事をしています。その結果、体脂肪率が13%に減りました。読者の皆さまの健康長寿のため、日常生活で座り過ぎない、仕事やミーティングも立ったままで、というプチ生活習慣改善をぜひお勧めしたいと思います。

益崎裕章 琉大大学院医学研究科 第二内科(西原町)

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