- 2026年6月11日 心不全を更新しました。
- 2026年6月5日 特定健診・特定保健指導を更新しました。
- 2026年6月4日 報告書一覧を更新しました。
家族との「人生会議」 最期に備え 価値観共有を
家族との「人生会議」 最期に備え 価値観共有を
2026年06月10日 公開
沖縄では親族の葬儀に立ち会う機会が多く、仏壇を前に「優しい人だったね」「あの人らしい最期だった」と語り合う場面によく出合います。そのたびに、日頃から「生き方」や「その人らしさ」について話しておく大切さを感じます。
私は内科の勤務医として多くの患者さんやご家族と向き合ってきました。医療の進歩によって人工呼吸器や点滴により命を長く保つことが可能になりました。しかし一方で、機械につながれたまま会話もできず、表情も読み取れないまま最期を迎える方もいます。そうしたとき、家族が「本人はどう望んでいたのか」と迷い、苦悩する姿を何度も見てきました。
そのような時に役立つのが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)=「人生会議」という考え方です。医療者の間ではようやく広まりつつありますが、一般の方にはまだ十分ではありません。そのため、いざという時に本人の意思が分からず、家族や医療者が悩みながら治療方針を決めざるを得ないことが少なくないのです。
ACPとは、「どんな生き方を大切にしたいか」「どのような医療やケアを望むか」を家族や大切な人、医療者とあらかじめ話し合う取り組みです。最期の希望を書面に残すことだけが目的ではなく、価値観や人生観を話し合い、共有すること自体に意味があります。本人の意思が何より大切ですが、もし伝えられなくなっても、家族が「きっとこう考えていた」と推測できるような会話の積み重ねが大切なのです。
大事なのは「最期をどう迎えるか」よりも、「どんなふうに生きていたいか」を話し合うこと。その対話を重ねることで、自然と「本人らしい最期」が見えてくるのだと思います。
夕食のあとや親族の集まりの中で、「自分はこんな生き方を大切にしたい」と気軽に話してみましょう。家族や大切な人との絆の中で、「人生会議」を少しずつ広げていくこと。それが、自分らしく生き、そして穏やかに人生を締めくくる第一歩になると、私は感じています。
澤紙秀太 沖縄協同病院 循環器内科(那覇市)
新着記事
リニューアル前のサイトはこちら