炎症性腸疾患 腹痛や下痢長引くときは

炎症性腸疾患 腹痛や下痢長引くときは

2026年04月08日 公開

 潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)が年々増加しています。2024年度の全国疫学調査で、潰瘍性大腸炎は全国で約32万人、クローン病は約9・6万人と推計報告され、食生活の欧米化や生活習慣の変化が背景と考えられています。

 特徴的な症状として、潰瘍性大腸炎では大腸が主な炎症部位で下痢、血便、腹痛、クローン病は口から肛門の消化管のどこにでも炎症が起こるものであり、腹痛、肛門部痛(痔瘻(じろう)・膿瘍)、口内炎、発熱、体重減少がみられます。両疾患とも10~20代で発症が多く、潰瘍性大腸炎の場合、中高年にもピークがみられます。

 現在、治療が大きく進歩しており、入院や手術の回数が減ってきています。しかし、だらだらと炎症が続いていると、炎症部位が母地となって大腸癌や肛門部の癌を発症することが問題となっています。

 潰瘍性大腸炎では5―アミノサリチル酸(5―ASA)製剤が基本で、症状が強い場合はステロイドや免疫調節薬を使用します。さらに、血球成分除去療法や抗TNFα抗体、抗IL―12/23抗体、抗IL―23抗体、抗インテグリン抗体、JAK阻害薬、S1P受容体調節薬が登場し、腸の炎症を抑えて「粘膜治癒」を目指す治療が可能になりました。

 クローン病では、腸管の安静が基本となるため、脂質を抑えた栄養療法が重要です。ステロイドは短期的に使い、長期管理として免疫調節薬や抗TNFα抗体、抗IL―12/23抗体、抗IL―23抗体、抗インテグリン抗体、JAK阻害薬を用います。最終的に手術が必要となる腸管の狭窄(通り道が狭くなること)の予防を重視し、早期から適切な薬剤や狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術といった治療介入が重要です。特に小腸病変は通常の胃カメラや大腸カメラでは評価できないため、専門病院での精査が必要です。

 潰瘍性大腸炎やクローン病はまだ完全な原因解明には至っておらず根治療法もありませんが、適切な治療と生活管理により勉強や仕事、スポーツ、妊娠も続けられます。腹痛や下痢が長引くときは、早めに消化器内科を受診し早期診断・治療を受けることが大切です。

金城徹 琉球大学病院 消化器内科(宜野湾市)

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