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女性の炎症性腸疾患 指定難病でも改善可能
女性の炎症性腸疾患 指定難病でも改善可能
2025年12月24日 公開
みなさん、炎症性腸疾患をご存じでしょうか。炎症性腸疾患には主に潰瘍性大腸炎とクローン病という二つの病気があります。これらの病気は国の指定難病で、原因が不明で治療方法が確立されていないとされています。どちらも腹痛、下痢や血便、発熱などの症状が出ますが、潰瘍性大腸炎は主に大腸、クローン病は多くの場合、小腸や大腸に炎症を起こします。若い方では10代から、男女問わず発症しますが、今日は特に「女性」と炎症性腸疾患についてお話をしたいと思います。
この疾患は腸に炎症を起こしますので、診断のためにはお尻から内視鏡を入れて検査する大腸内視鏡が必ず必要になります。
大腸内視鏡では、デリケートな部分を検査するわけですから、特に女性は「恥ずかしい」という気持ちから医療機関への受診が遅れてしまうことがあります。また、治療薬は症状が軽度から中等度であれば、5―アミノサリチル酸という飲み薬で治療が可能ですが、このお薬が合わない方や症状が強い方は免疫抑制薬が必要になります。免疫抑制薬は、体の中で過剰に暴走してしまった免疫反応を抑えて炎症をコントロールする、炎症性腸疾患の理にかなったお薬です。
さまざまな研究から妊娠や出産を控えている女性にも使うことが可能な免疫抑制薬も複数ありますが、女性の立場からすると「妊娠しづらくなるかも」とか、「万が一赤ちゃんに影響したら」といった不安を抱え治療に踏み切れない方もいます。しかし、潰瘍性大腸炎、クローン病いずれも腸の炎症がコントロールされている状態では、妊娠や出産に影響は少ないといわれています。
そのほかにも、女性の場合は、男性より多くのライフステージがあり、月経前症候群や不妊症、更年期障害など、さまざまな問題に直面しますので、主治医の先生と十分に話し合いながら治療を決めることも大切です。
指定難病であり治療方法が確立されていない疾患とはいうものの、この20年余りで多くの薬が開発され、生活の質が改善する患者さんが増えていることも事実です。
血便や腹痛でお悩みの場合は近くの医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
瀬嵩万貴 那覇市立病院 消化器内科(那覇市)
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