沖縄の健康長寿再び 無関心こそが最大の敵

沖縄の健康長寿再び 無関心こそが最大の敵

2025年12月10日 公開

 かつて世界最高の長寿県として名をはせた沖縄県は、約40年の間に国内最低レベルの短命県に成り下がってしまいました。さらに昨年末には、他人の世話にならずに生活できるという健康寿命さえ、下から数えて何番目という残念な状況が報告されました。なんたることでしょう。問題は、この事実をどれだけの県民がご存じで、これをなんとかしようと真剣に考えていただいているかということです。

 死因別のデータを見ると、糖尿病や肝疾患、心血管系疾患などのいわゆる生活習慣病に由来する死亡が非常に多いことがわかります。逆に言えば、食を含む生活習慣を改善することで、かつての健康長寿を取り戻せる可能性が高いとも言えます。

 骨が弱くなり、簡単に骨折してしまう骨粗しょう症という言葉をご存じかと思います。この骨粗しょうに伴う太ももの付け根の骨折も、実は沖縄県が最も多いのです。車社会の沖縄は、天候のこともあってあまり歩かないことが定着しています。足腰が弱くなった結果としての移動障害をロコモティブシンドローム(通称ロコモ)と呼びますが、沖縄県民の女性で40代、男性では50代の約4割がロコモに相当するという驚くべき調査結果も得ております。足腰が弱くなり、転倒すると簡単に骨折し、介護が必要な状態へ移行する。こういった悪循環が、沖縄の健康寿命を押し下げている一因だと思われます。

 私共は、沖縄県整形外科医会とともに例年啓発活動を続けておりますが、沖縄におけるロコモや骨粗しょう症の認知度はいまだ不十分と感じています。沖縄県庁にもその都度これらについてお伝えしてきておりますが、行政が本気で沖縄のこの現状をなんとかしようという動きはいまだ見えません。

 私は県外から着任した「ないちゃー」ですが、大好きな沖縄の不健康な状況をこのまま黙って見過ごすわけにはまいりません。まずはこの沖縄の現状を知っていただき、健康に関心を持っていだだくことが第一歩かと信じています。健康に対する無関心こそが沖縄県の最大の敵なのです。

西田康太郎 琉球大学病院 整形外科(宜野湾市)

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