- 2025年11月13日 日本医師会生涯教育講座等についてを更新しました。
- 2025年11月12日 第139回沖縄県医師会医学会総会への参加についてを更新しました。
- 2025年11月12日 沖縄県医師会医学会総会を更新しました。
頭頸部がんに対する新たな治療
頭頸部がんに対する新たな治療
2025年11月13日 公開
抗がん剤を管で直接投与
2023年度国立がん研究センターによると頭頸部(とうけいぶ)がんは日本人のがん全体の3%で、年間約3万3千人が罹患しています。全体のがんの割合からすると低いですが、近年増加傾向で、死亡率も高くなってきています。頭頸部がんには喉頭がん、咽頭がん、舌がん、上顎洞(じょうがくどう)がんなどがありますが、進行がんで発見されることも少なくありません。一般的に頭頸部がんの治療は手術を行うことが主体となります。早期がんであれば日常生活に支障をきたさない縮小手術が可能ですが、進行がんの場合は臓器(眼球、舌、喉頭、顎骨(がっこつ)など)を摘出する拡大手術を行わなければなりません。進行がんで手術を行った場合は発語や嚥下(えんげ)などの機能障害がでる他に容姿の変形を伴うことが問題となります。
進行がんで手術を回避した治療法として放射線治療があります。ただ、放射線治療のみでは治療効果としては不十分で、放射線治療と同時に抗がん剤の投与が必要となります。抗がん剤は一般的には静脈内に点滴で投与しますが、この方法は一部の進行がんに対しては有効でないことがあります。その問題点を解決する方法として、カテーテルという細い管を用いてがんの栄養血管(動脈)に抗がん剤を直接投与する「動注化学療法」という治療法が開発されました。この動注化学療法と放射線治療を同時に併用する治療「動注化学放射線治療」を行うことで、今までは難治性であった進行頭頸部がんを手術せずに保存的に治療することが可能となってきています。特に進行上顎洞がん(目の下で頬の奥の部分にある部位)に効果的で、国内の主要大学病院、がんセンターなどが中心となって行った研究で、進行上顎洞がんに対する動注化学放射線治療は手術と同等の治療成績だったことが国内外に示されました。動注化学放射線治療は、進行上顎洞がんの他に進行した舌がんや中咽頭がんに対しても優れた治療成績が示されています。頭頸部がんに対する動注化学療法に関しては施行施設が限られますので、興味がある人は対応する施設の耳鼻科、歯科口腔(こうくう)外科にご相談してみてください。
平安名常一 南部徳洲会病院 放射線治療科(八重瀬町)
新着記事
リニューアル前のサイトはこちら