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帯状疱疹 治療遅れると後遺症も
帯状疱疹 治療遅れると後遺症も
2025年10月08日 公開
80歳までに3人に1人が、帯状疱疹(ほうしん)にかかると言われています。帯状疱疹とは、体内の水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化により起こる病気です。
子供の頃、このウイルスに初めて感染すると水ぼうそうを発症します。水ぼうそうが治った後もウイルスは神経節という場所に潜んでいて、加齢やストレスで免疫力が低下すると再び活動し始め、神経を伝わって皮膚へ到達し、帯状疱疹を発症します。小児期の水痘ワクチンと中年以降の帯状疱疹ワクチンにより、将来的には患者の減少が期待されています。
しかし現状においては、小児の水痘ワクチン接種が義務付けられたことで水ぼうそうが減り、子育て世代を中心にブースター効果(一度作られた免疫がもう一度ウイルスに触れることで機能が高まる効果)が得られなくなったことと、高齢人口の増加により、むしろ増加傾向にあります。
帯状疱疹では、体の片側に神経に沿って痛みを伴う発疹が出てきます。胸や背中など多くは上半身に現れ、顔面にみられることもあります。
痛みは徐々に強くなり、「焼けるような」「電気が走るような」痛みに変わり、眠れないほどの激痛になる場合もあります。
10%の人に帯状疱疹後神経痛として3カ月以上も痛みが続くため、長期にわたり生活の質が低下してしまいます。さらに髄膜炎や視力低下、顔面神経麻痺(まひ)などの合併症にも注意が必要です。
治療が遅れると後遺症を残す可能性があるため、帯状疱疹の疑いがある場合は一日でも早く医療機関を受診することが大切です。治療の柱は、ウイルスの抑制と痛みの緩和です。ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みを抑える各種鎮痛薬が処方されます。
これらに加え、早期からの神経ブロックも有用です。痛みのある神経の近くに局所麻酔薬やステロイド剤を注射します。最近では、局所麻酔薬の代わりに電気刺激を用いる治療も有効性が示されています。
そして、わが国でも今年4月から65歳を迎える方などへの帯状疱疹ワクチンの定期接種が始まりました。高齢者や免疫機能の低下した方への予防策としてワクチン接種が強く推奨されます。
加治佐淳一 おもろまちメディカルセンター 麻酔科 ペインクリニック(那覇市)
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