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乳児アトピー 保湿剤でアレルギー予防?
乳児アトピー 保湿剤でアレルギー予防?
2025年05月14日 公開
生後3カ月以内にアトピー性皮膚炎や湿疹があると、その後の食物アレルギーの発症リスクが増加します。日本では、乳児期早期にアトピー性皮膚炎があると約4割の乳児が鶏卵アレルギーを発症することが報告されています。2023年に国立成育医療研究センターから発表されたPACI(パッチー)試験では、アトピー性皮膚炎の乳児に生後2~3カ月から外用ステロイド薬によるプロアクティブ療法を行うことで、鶏卵アレルギーを約25%減少させることができると報告されました。
それでは、生後すぐに保湿剤を塗り始めると、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを予防できるのでしょうか? 22年に発表されたコクランレビュー(世界中の医学文献データを系統的にまとめて解析した報告)では、乳児期に保湿剤を塗布してもアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの予防はできず、むしろ皮膚感染症を増加させる可能性があると報告されました(ただし、このレビューで扱われた研究の多くで保湿剤の種類が異なり、中にはオリーブオイルを扱った研究も含まれていました)。
一方、別の研究では、アレルギー疾患をもつ家族がいる乳児に対して、新生児期からセラミドを含む保湿剤を全身に塗布を続けると、アトピー性皮膚炎の予防に有効だったと示されています。このように、保湿剤であれば何でも良いというわけではなく、しかもすべての乳児で効果があるわけでもありません。
また、22年に発表されたタイの研究では、新生児期から保湿剤を塗布している乳児のうち、週4~6日塗布した乳児の方が、週1~3日塗布した乳児よりもアトピー性皮膚炎の発症が多かったと報告されました。タイと似たような気候である沖縄でも、保湿剤の塗りすぎには注意が必要かもしれません。乳児に保湿剤を使用する場合、保湿剤の成分以外にも、その時の皮膚の状態や気候などによって効果が異なります。実際に使用し効果がない場合は、漫然と続けずにかかりつけ医へご相談ください。
崎原徹裕 ハートライフ病院 小児科(中城村)
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