胆石症 命に関わる合併症放置

胆石症 命に関わる合併症放置

2025年04月09日 公開

 胆石症は、胆嚢(たんのう)という臓器に結石ができる病気です。胆嚢は、肝臓の下に位置し、肝臓で作られた胆汁を一時的に蓄える小さな袋で、脂肪の消化を助ける働きを持っています。

 胆石には、コレステロールを主成分とするものが多いですが、胆汁の成分が固まったビリルビン結石や、これらが混ざった混合石もあります。

 成人の10~15%に胆石がみられ、特に中高年の女性や肥満の方に多いとされています。近年では食生活の欧米化に伴い、日本でも増加傾向にあります。

 多くの人は無症状のまま経過しますが、結石が胆嚢の出口や胆管に詰まると、右上腹部やみぞおちに突然強い痛みが生じることがあります。これを「胆石発作」といい、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うこともあります。

 この検査は痛みがなく、安全かつ簡単に胆石の有無を確認できます。必要に応じてCTやMRIを行うことで、結石の位置や周囲の臓器の状態を詳しく調べることができます。

 症状がない場合、定期的に経過観察するだけで済むことが多いですが、発作を繰り返す場合や合併症のリスクがある場合は、胆嚢摘出術が推奨されます。

 現在は体に負担が少ない腹腔鏡手術が一般的で、術後の回復も早く、数日で退院可能なケースがほとんどです。

 最も注意が必要なのは、胆嚢炎や胆管炎といった合併症です。胆嚢炎は胆嚢そのものが炎症を起こす状態で、胆管炎は胆石が胆管(胆汁の通り道)に詰まることで起こります。これらは放置すると重症化し、命に関わる危険性もあるため、早期の診断と治療が重要です。

 健康診断や人間ドックで胆石を指摘された場合は、一度専門医を受診し、適切な対応を相談してください。

 胆石症は早期発見と治療で多くの場合改善が可能です。将来の健康を守るためにも、症状がある時や不安を感じた場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

上里安範 大浜第一病院 外科(那覇市)

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