変形性足関節症 適切な治療で症状改善

変形性足関節症 適切な治療で症状改善

2025年01月22日 公開

 変形性足関節症は、足関節(距腿(きょたい)関節)の軟骨が変性・摩耗することで足関節が変形し、痛みが生じる状態です。軟骨がすり減る原因には加齢によるもの、過去のけが(骨折や捻挫)によるもの、疾患によるもの(関節リウマチなど)があります。単純X線像上では一般住民の約10%が有するものの、臨床で取り扱う機会が少なく、一般成人の有病率も1%未満と推測されます。診断は次の方法で行われます。

 (1)「症状と所見」動作時や歩行開始時の足関節前内側部の疼痛(とうつう)が特徴的です。内反型の初期では、内側関節裂隙(れつげき)に圧痛が限局します。

 (2)「画像診断」(a)X線検査 荷重時単純X線足関節正面像で軟骨のすり減りの程度を決定します。(b)MRI 関節周囲の骨髄内信号変化や菲薄化(ひはくか)(薄くなった状態)した関節軟骨を評価でき、初期診断に有用です。(c)「CT/3D―CT」 形態の詳細な変化や骨棘(こつきょく)(関節の端に尖った骨ができている状態)の位置、大きさの把握に役立ちます。

 治療は保存的治療と手術的治療に大別され、保存的治療は次のような方法で行います。

 (1)鎮痛剤や湿布などを使用する「薬物療法」(2)サポーターや足底板を使用する「装具療法」(外側楔状(けつじょう)足底挿板(そくていそうばん)や短下肢装具(たんかしそうぐ)を考慮します)(3)症例に応じて関節可動域の維持・改善、筋力を強化する「運動療法・物理療法」(4)副腎皮質ステロイドなどの関節内注入を行うこともある「ステロイド注射」―などがあります。

 保存的治療で改善しない場合、以下の手術療法を検討します。

 (1)「関節鏡手術」軽症例で、骨棘切除や滑膜(かつまく)切除などを行います。(2)「外側靱帯(じんたい)手術」靭帯機能を改善し、関節不安定性を伴う場合に適用します。(3)「下位脛骨(けいこつ)骨切(こつき)り術」「脛骨遠位斜め骨切り術」脛の骨の足首に近い部分を切って骨の並びを矯正し、足首の負担を軽減します。(4)「足関節固定術」(5)「人工足関節全置換術」―などがあります。

 治療法の選択は、病期や症状の程度、患者の生活様式などを考慮して決定されます。早期診断と適切な治療により、症状の改善や進行の抑制が期待できます。

西川正修 友愛医療センター 整形外科(豊見城市)

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