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大腸憩室出血 突然の大量血便で発症
大腸憩室出血 突然の大量血便で発症
2024年12月25日 公開
皆さん、「大腸憩室症」もしくは「大腸憩室出血」という言葉を知っていますか?
大腸の壁に外側に向かって小さな袋状のへこみができる状態を「大腸憩室」と言います。複数個の憩室が存在し、加齢とともに増加することも明らかになっていますが、憩室保有者の70~85%は無症状のままで一生を終えます。
しかし、憩室内の血管が破れて出血する疾患である「大腸憩室出血」は、憩室保有者の5~10%程度で発症します。腹痛のない突然の大量血便で発症し、血便の量に大変驚かれる患者さまは多いですが、出血は70~90%が自然に止まり、死亡率は1%未満と比較的低いとされています。時には、血圧の低下や失神、ふらつきを伴い、輸血を要することもあります。
血便の病因として虚血性大腸炎や大腸がん、痔などが挙げられますが、現在、わが国で最も多いのが「大腸憩室出血」です。大腸憩室出血は年々増えており、われわれの病院でもほぼ毎日のように大腸憩室出血をきたした患者さんが搬送されています。
大腸憩室出血は、高齢者に多く発症するため、超高齢化社会となったわが国では急増しています。血液をサラサラにする薬や痛み止めの薬がこの疾患の要因とされており、高齢になるとこのような薬を内服する頻度が高くなることが拍車をかけています。
出血が自然に止まることも多いため、軽症な場合は安静と点滴による保存的治療が多いです。また、内視鏡を用いて出血部位を特定し、クリップやゴムで結紮(けっさつ)して直接止血する方法もありますが、治療成功率はかなり低く、内視鏡治療後もしくは自然に出血が止まったとしても、1週間以内に再出血することも多いため、医師にとっても患者さまにとっても悩まされる疾患の一つです。
内視鏡治療でも出血が止まらない場合は、カテーテルによる動脈塞栓(そくせん)術や憩室を含む大腸の一部を切除する外科的手術に至ることもまれにあります。
なお、過去に大腸憩室出血の既往がある場合は、再出血のリスクも高いため、注意が必要です。
金城健 浦添総合病院 消化器内科(浦添市)
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