医療的ケア児に必要な場所 安全な生活へ支援強化を

医療的ケア児に必要な場所 安全な生活へ支援強化を

2024年11月13日 公開

 医療的ケア児とは、日常的に医療が必要な子どもを指します。そのため、適切な支援がないと、こども園や学校に通うことが難しくなります。また、家族にとって適切な居場所を見つけることが重要です。医療的ケア児の最初の居場所は「おうち」です。「おうち」では、その子に合った在宅ケアを組み立てることで安心して過ごせます。また、家族と一緒にいることで精神的な安心も得られます。

 しかし、在宅ケアには医療知識や技術が必要で、家族への負担も大きいです。そのため、在宅医師、看護やヘルパーが不可欠です。在宅医療サービス等を活用することで、安心できる「おうち」生活を支えます。

 「おうち」での環境を整えた後、「医療的ケア児のデイサービスや通所施設」(児童デイ)へ通います。専門の医療スタッフが常駐し、安全に過ごせる環境が整っています。医療的ケア児同士が交流することで社会性を育み、家族も一時的にケアの手を離れ、心身のリフレッシュができます。

 児童デイと家で過ごせるようになったら、スタッフとともに「外出」にチャレンジします。初めて一般社会との交流が始まります。また、外出の練習を通じて家族だけでお出掛けする自信をつけていきます。

 このように「おうち」「児童デイ」「外出」の練習を経て、「こども園」や「学校」へ通えるようになります。近年、医療的ケア児を受け入れる体制が整備されつつあり、地域の学校も選択肢の一つとなりました。ただ課題は多く、学校内に看護師を配置し、教職員が医療的ケアの知識を習得することが必要です。支援の拡充により子どもたちの居場所を確保し、インクルーシブな環境の推進が社会全体の共生意識を高めていきます。

 子どもたちの居場所を作るには、地域社会全体の理解と支援が欠かせません。地域住民が医療的ケア児について理解し支援することで、子どもたちは安心して過ごせます。各場所での取り組みを強化し、子どもたちが安全で充実した生活を送れるようにすることが求められています。

宮城大雅 沖縄南部療育医療センター 小児科(那覇市)

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