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胃がんとピロリ菌 飲み薬で除菌、発症抑制
胃がんとピロリ菌 飲み薬で除菌、発症抑制
2024年07月03日 公開
胃がんは、日本人のさまざまながんのなかでも特に罹患(りかん)率・死亡率ともに上位のがんであるとされます。胃がんの危険因子として、食塩の過剰摂取や喫煙、ピロリ菌感染が挙げられます。今回はピロリ菌に関して少し詳しくお話しさせていただきます。
ピロリ菌の大半は乳幼児期に親から子へと家庭内で経口感染し、感染は生涯にわたります。胃粘膜に住み着き、胃粘膜の炎症を引き起こすといわれています。炎症状態が持続すると、大人になって胃がんを発症する可能性があります。また胃がん以外にも胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫といった疾患とも関連しています。
最近では日本のなかでも胃がんの発症率に地域差があることが知られており、地域ごとにピロリ菌の特徴が違うのではないかと考えられています。日本各地に分布するピロリ菌の特徴を明らかにすることを目的とした研究も始まっています。
そんなピロリ菌ですが、除菌により将来の胃がんの発生を抑えることができます。飲み薬により治療することが可能です。3種類の薬を1日2回、7日間内服することで除菌ができ、その成功率は90%ほどです。万が一除菌に失敗したとしても保険診療内で再除菌が可能です。
ピロリ菌感染などの原因により胃がんが発症してしまうのですが、早期の胃がんでは無症状のことが多く、進行するとさまざまな症状が出現します。近年では検診の普及により、無症状のうちに発見される早期胃がんも増えていますが、沖縄県は検診受診率が全国と比べて低く、残念ながら進行した状態で病院を受診される方も多くいらっしゃいます。
胃がんの治療には内視鏡治療や手術治療、抗がん剤を用いた化学療法などがあり、病気の進行度に応じて選択します。早期発見を行うことで、より体に負担の少ない治療でがんの根治を目指すことができます。50歳以上の方はぜひ胃がん検診を受診しましょう。
武市由希子 県立宮古病院 消化器内科(宮古島市)
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