中毒 身近な飲料も取り過ぎ注意

中毒 身近な飲料も取り過ぎ注意

2024年06月12日 公開

 中毒とは「毒に中(あた)る」という意味です。体に悪影響のあるものが許容量を超えて体内に入ることで、生体の機能が障害された場合に中毒と言えます。例えば、お酒の飲み過ぎが体に良くないということは誰もがご存じのことで、「お酒=毒」というのはイメージしやすいと思います。一方で、良かれと思って取るようにした食品の取り過ぎが、体に悪影響を及ぼすこともあります。

 ポリフェノールが含まれる紅茶やコーヒー、そしてたんぱく質が豊富な牛乳といった、気軽に手に入る飲料の健康へのメリットについて聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ただ、これらの飲料とそれに含まれる他の成分を取り過ぎることで病気を発症してしまうこともあるので、注意が必要です。

 市販されている加糖の紅茶を毎日何リットルも飲んでいた結果、糖分の取り過ぎで糖尿病になっただけでなく、致命的合併症である糖尿病性ケトアシドーシスまで発症された方もいます。また、牛乳の取り過ぎで著しい高脂血症となり、これが引き金となり急性膵炎を発症された方もいます(膵炎も致命的になることがある病気です)。

 紅茶にはカップ1杯で(条件によってさまざまですが)約40ミリグラムのカフェインが含まれ、コーヒーはこの約2倍のカフェイン含有量があるため、カフェイン中毒に注意が必要です。妊婦を除く成人のカフェイン摂取量は1日400ミリグラム以下が安全とされていますが、カフェイン摂取量と中毒症状の出現には個人差があります。また、一度に大量に飲むことも避けた方がよいでしょう(体格の良い成人でもせいぜい200ミリグラム以下が安全です)。急性カフェイン中毒での死亡例も報告されています。

 このように、適度な摂取であれば健康へのメリットが見込める飲料であっても、過剰な摂取は体に毒になることがあります。まさに「過ぎたるはなお及ばざるが如(ごと)し」で、許容できない量の成分が体に入ればそれは「毒」であることに気をつけておきましょう。

佐藤直行  ハートライフ病院 総合内科(中頭郡)

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