潰瘍性大腸炎 ストレスで悪くなることも

潰瘍性大腸炎 ストレスで悪くなることも

2024年05月15日 公開

最近、著名人が体調を崩して休養を余儀なくされる報道の中で「潰瘍性大腸炎」という病名を聞いたことはありませんか。潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜がただれ、腹痛や発熱、下痢、血便を伴う疾患です。長期的に症状が良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すのが特徴で、治療の継続が必要です。過度なストレスで症状が悪くなることがあります。

 症状は軽いものから入院や手術を要するものまで幅広く、国の指定難病にも指定されています。病因は不明ですが、欧米型の食生活も関与しているとされ、10~20代に診断されることが多く、中年、高齢者でも発症することがあります。

 世界的にも患者数は年々増えてきており、日本では約22万人(2014年の報告)と、世界でも米国に次いで2番目に多いと言われています。皆さまの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。

 潰瘍性大腸炎と診断された場合、長期的にうまく付き合っていく必要があります。寛解状態のときは特に日常生活の制限はありませんが、できるだけ過度なストレスや暴飲暴食は避け、規則正しい生活を心がけることが寛解状態を維持するために大切です。

 一方、再燃・活動期には体を十分休ませ、おなかにやさしい、バランスが取れた食事内容が望ましく、特に脂肪分が多い食事やアルコール類を避けることが症状の軽減につながります。

 さらに女性の場合、妊娠や出産のタイミングは寛解期が望ましく、寛解を維持するために治療の継続、調整が必要となります。使用している薬剤によっては妊娠に影響を及ぼすこともあるため、妊娠や出産を希望する場合は事前に主治医に相談しましょう。

 ここ数年でも続々と新薬が保険収載されており、多くの治療選択肢がそろってきています。主治医とともに自分の生活にあった治療法を選択し、長期にわたり寛解期を維持できることがお互いの希望ですので、悩んでいることがあれば遠慮なく主治医に相談してください。

金城徹 琉球大学病院 光学医療診療部・第一内科 (中頭郡西原町)

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