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水分の取り方に注意 尿量把握し飲水量調節を
水分の取り方に注意 尿量把握し飲水量調節を
2024年01月10日 公開
「こまめに水分を取りましょう」は、テレビからよく流れてくる言葉です。その理由として、熱中症予防や脳梗塞予防、肥満防止などがあります。それでは、水分摂取が多すぎた場合の不都合はご存じでしょうか。
実は水分摂取が多すぎると、死亡率が上昇します。スウェーデンの女性を対象とした20年の経過観察から、1日に飲む牛乳の量が多いほど心血管系疾患(高血圧、心不全、心筋梗塞、脳梗塞など)で死亡率が上昇します。また、夜間の排尿回数が増え、その際に転倒して骨折する割合が増えます。
日本でも海外でも、夜間の排尿回数2回以上で死亡率が上昇することが報告されており、そこから計算される夜間頻尿に関連する日本人の死亡者数は、年間12万~13万人と推測されます。夜間頻尿が直接の死因ではないのですが、夜間頻尿となる状態は体を徐々に弱らせているためです。夜間頻尿の原因の60~80%は水分摂取過剰とされていますから、熱中症での年間死亡者数千人前後より、はるかに多くの方々が水分過剰摂取の状態から死期を早めているのです。
それでは1日どれくらい水分を取ったら良いのでしょうか。それにはまず1日の適正尿量(20~25ミリリットル×体重キログラム)を知りましょう。体重50キログラムなら1000~1250ミリリットルの1日尿量となるよう水分を調節して取ることです。1回ごとの尿量を測って合計して求めます。この量は飲む水分量ではなく尿量です。尿量を測るのが面倒であれば、夜間2回以上排尿に起きない程度に飲水量を朝から調節することです。
高齢者では日中の排尿回数は少ないのに夜間に多くなる方がいます。それは、日中取りすぎた水分がむくみとして下半身に蓄えられ、夜間に尿として排せつされているためです。一方、飲水制限しすぎていると足がつることがありますので、その場合には就寝前に経口補水液などをコップ1杯飲みましょう。水分不足では尿がでません。水分量が十分あるから排尿するのです。夜間頻尿の高齢者には、むやみに水分摂取を勧めないでください。
菅谷公男 北上中央病院院長(泌尿器科)
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