- 2025年12月15日 第139回沖縄県医師会医学会総会〈令和7年12月14日〉を更新しました。
- 2025年12月15日 沖縄県医師会医学会賞を更新しました。
- 2025年12月15日 日本医師会生涯教育講座等についてを更新しました。
脊髄損傷でも排便習慣 「逆行性洗腸法」でQOL向上
脊髄損傷でも排便習慣 「逆行性洗腸法」でQOL向上
2025年12月15日公開
脊髄損傷によって自力での排便が難しくなった方のために、逆行性洗腸法(ペリスティーン)という排便コントロール法があります。専用の機器を使ってぬるま湯を肛門から大腸に注入し、腸の働きを促して便を排出させる方法です。主に排便反射機能が低下した脊髄損傷の患者さんが、安定した排便習慣を確立するために行います。
これまでは下剤などによって治療を行っても排便コントロールが難しい方は人工肛門の造設も検討されていました。逆行性洗腸法の登場により、手術を行わずに排便をできるようになります。この方法を正しく実践することで日々の生活をより快適に送ることができます。
治療方法としては、まず専用のウオーターバッグに体温に近いぬるま湯を準備します。次にカテーテルの先端に潤滑剤を塗り、肛門から直腸へ慎重に挿入します。この際、カテーテルが抵抗なくスムーズに入ることを確認してください。カテーテルの準備ができたら、専用のポンプを使ってウオーターバッグのぬるま湯をゆっくりと注入します。注入量は、医師や看護師の指導の下、個人の体調や便の硬さによって調整します。注入が完了したらカテーテルを抜きます。数分から数十分待つと、ぬるま湯の刺激によって腸の動きが活発になり、自然に便が排出されます。排便が済んだら、肛門周囲をきれいに拭き取って終了です。
逆行性洗腸法の一番のメリットは排便の時間や場所を自分でコントロールできるようになることです。外出中や就寝中の急な便失禁の心配が減るため、精神的な負担が軽くなり、社会活動や旅行なども安心して楽しめます。実際に車いすバスケットボールや車いすマラソンをしやすくなった方々も多くいます。また、便秘が解消され、おなかの不快感や張りがなくなり、食欲が増すことも期待できます。
この方法を習慣化することで自律的な排便コントロールが可能になり、生活の質(QOL)を大きく向上させることができます。
仕垣幸太郎 大浜第一病院 大腸・肛門外科(那覇市)
新着記事
リニューアル前のサイトはこちら