痩せているのに高いコレステロール値

痩せているのに高いコレステロール値

2025年10月08日公開

食べ過ぎではなく病気の可能性 若くして心臓病のリスクも 家族性高コレステロール血症

 「痩せているのに、コレステロールが高い」-。健康診断でそう言われたことはありませんか? それは食べ過ぎではなく、体質による病気かもしれません。見逃されがちですが、早期発見が重要な疾患です。

 その病気は「家族性高コレステロール血症(FH)」。遺伝によって、LDLコレステロール(悪玉)が異常に高くなります。日本人の約300人に1人見られ、決して珍しくありません。一般的な高コレステロール血症と異なり、若いうちから数値が高いのが特徴です。驚くことにFHは太っていない人にも見られ、スリムな体形でも、生活習慣では説明できないほどコレステロールが高いのです。

 この病気の怖さは、若くして心臓病になるリスク。本来心筋梗塞は高齢者に多い病気ですが、30代、40代で自覚症状がないまま血管が傷み、突然、命に関わる発作を引き起こすこともあるのです。

 次のような特徴がある方は、FHの可能性があります。

・LDLコレステロールが180mg/dL以上と著しく高い

・若い頃から高コレステロールを指摘されていた

・家族に若くして心臓病になった人がいる

・アキレス腱(けん)が太く硬い(コレステロール沈着の症状)

 FHは家族にも関係する病気です。家族のつながりが強い沖縄では、1人の診断が多くの命を守るきっかけになります。「うちは心臓が弱い家系」と思っていた背景に、実はFHが隠れていたケースも多いのです。

 治療には食事や運動だけでなく、コレステロールを下げる薬もあります。最近は新しい薬の登場により、予防効果も大きく向上しています。医療の進歩で、かつては難しかったコントロールも十分に可能です。適切な治療を続ければ、健康な人と変わらない生活が送れます。

 「まさか自分が…」と思わず、「今チェックしよう」という心がけが大切です。健診でコレステロールを指摘された方、家族に心臓病の人がいる方は、ぜひ医療機関にご相談を。それが、あなたと大切な人たちの未来を守る第一歩になります。

城本高志 シーサー通り内科 リハビリクリニック(那覇市)

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