年々増える大腸がん患者 進行がんでも根治望める

年々増える大腸がん患者 進行がんでも根治望める

2025年06月25日公開

腫瘍の深さで異なる治療法は日々進歩 腹腔鏡やロボット支援も

 大腸がんの患者は年々増えており、男女ともに生涯でかかる確率が2番目に高く、死亡数も男性2位、女性では1位のがんです。さらに近年、50歳未満の若い世代の発症が大幅に増えていることも指摘されています。

 大腸がんの症状には血便、便秘や下痢などがありますが、早い段階で現れることはほぼありません。そのため早期発見には、がん検診としての便潜血検査が有用です。

 表面を専用の器具で擦りとり、便中に含まれる血液成分を測定します。検査前の食事制限も不要で簡単な検査ですが、大腸がんによる死亡率の低下が分かっています。

 この検査で陽性、あるいは陰性であっても50歳以上や親戚に大腸がんの方がいる場合、精密検査として大腸内視鏡検査の受診が大切です。大腸内部を直接観察することで、大腸がんやポリープを診断することが可能です。

 大腸がんは腫瘍の深さにより、大きく早期がんと進行がんに分類され、それにより治療方法も異なります。

 腫瘍が浅い位置にある早期がんでは内視鏡での切除が可能ですが、一定の深さを超えると腫瘍が血管やリンパ管を介して転移する可能性が出てくるため、外科手術の対象となります。

 外科手術が必要な場合でも、おなかを大きく切ることはほとんどありません。小さな孔(あな)を数カ所開け、内視鏡カメラや手術器具を挿入して行う腹腔(ふくくう)鏡手術、さらには小さな孔から挿入した器具をロボットアームから操作するロボット支援手術も普及しています。

 ロボット支援手術では拡大された高画質の3D画像を見ながら、人間の手よりもよく曲がり、手ぶれのない鉗子(かんし)を使用するため、さらに正確で繊細な手術が行えます。術後の痛みが少なく回復も早いのみならず、特に直腸がんでは長期的な治療成績も優れていることが報告されています。

 大腸がんの治療は日々進歩しています。進行がんであっても手術で根治が望め、早期に見つけて治療すれば、それだけ根治の可能性も高くなります。やみくもに恐れることなく、まずは、検診を受けることをお勧めします。

川上雅代 大浜第一病院下部消化管外科(那覇市)

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