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珍しい病気ではない胆石
珍しい病気ではない胆石
2025年05月28日公開
女性がなりやすいと考えられたが… 有病率は男女比逆転 重症化の恐れに要注意
健康診断での調査では、胆石は約5%に認められており、珍しい病気ではありません。近年では寿命が延びたことや、飽食で肥満の人が増えているため胆石も増加傾向にあります。
胆のうはおなかの右上にあり、肝臓で作られた胆汁をためています。食事が消化管を通過する際に、胆のうが反応し縮むことで胆汁を消化管に放出し消化を助けています。胆のうの中に結石ができると胆石となります。胆石ができる原因の一つが胆汁内のコレステロール増加です。コレステロールは胆汁の原料ですが、過剰なコレステロールが胆のうの中で蓄積され胆石になります。コレステロール増加の原因としては加齢、肥満、中性脂肪の増加、高カロリー食の摂取、急激なダイエット、遺伝性、女性ホルモンの低下があります。女性ホルモンの関係で女性のほうが胆石になりやすいと考えられますが、近年は男性の肥満増加もあって胆石の有病率は男女比が逆転し男性のほうが多くなっています。
胆石があっても90%の人は無症状で経過しますが、有症状の場合、おなかの右上の痛みが出現します。痛みが続くと胆のうに炎症が広がり、胆のう炎になります。胆のう炎は重症化すると胆のうが破裂し腹膜炎になる恐れもあり注意が必要です。治療には胆のうの切除が必要です。腹腔(ふくくう)鏡下で手術できれば傷も最小限で済むことが多いです。
胆石症に伴う胆管結石を合併する人もいます。胆管結石が胆管の出口で詰まってしまった場合、高率で腹痛、発熱が出現し肝機能障害、黄疸(おうだん)が起こる胆管炎になることがあります。胆管炎は重症化すると全身に細菌感染症(敗血症)を合併することがあります。治療としては内視鏡にて胆管結石を除去します。
まれに胆石の原因として胆のうの癌(がん)が見つかることもあり、特に胆石を初めて指摘された場合は消化器内科や消化器外科での精密検査をお勧めいたします。また、胆石の指摘があり食後に右側腹部痛がある場合、胆石発作を起こしている可能性があります。一度病院を受診してみてはいかがでしょうか。
宮里公也 与那原中央病院消化器内科(与那原町)
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