「本当の夢」を大切にする場所

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2025年03月12日公開

沖縄こどもホスピスが目指す難病や障がいある子と健常児が共に育つ未来

 「こどもホスピス」という言葉を聞いたことがありますか? 難病の子どもが終末期を過ごす病院をイメージされる方が多いのですが、それは半分正解で半分間違いです。

 日本に現在あるこどもホスピスは、「病院併設型」と「コミュニティー型」の大きく二つに分類されます。病院併設型とは、いわゆる緩和ケア病棟(病院)のことです。一方、1982年に英国から始まったコミュニティー型ホスピスは医療機関ではなく、いわば「難病や障がいがある子どものための児童館」です。日本では2016年に大阪市に、21年には横浜市に開設され、その重要性が認知されてきています。

 この動きに続くようにして、沖縄でも22年から「沖縄こどもホスピスのようなものプロジェクト」が始まりました。小児緩和ケアの啓発活動や障がいのある子どもの旅行支援、遊び場の提供などに取り組んでおり、24年からはNPO法人として活動しています。

 将来的には子どものやりたいという思い、さらにはその思いの裏に隠れている気持ちや、その先にある「本当の夢」なども大切に過ごせるコミュニティー型こどもホスピスをつくりたいと考えています。

 こどもホスピスの対象は一般に、緩和ケアの対象となる生命を脅かす状態(小児がん、先天性心疾患など)にある子と家族です。しかし沖縄のこどもホスピスは、難病や障がいがある子と家族のためだけの場にするのはもったいないと考えています。可能な範囲で健常な子どもが関われる機会もつくり、お互いをもっと知るようになれば、全ての子どもの自己効力感や他人への思いやりを育めるのではないかと考えています。

 沖縄の全ての子どもの「優しさとケアが循環するまちづくり」を最終目的としています。難病や障がいは誰にとっても人ごとではありません。

 コミュニティー型こどもホスピスを建てることは決して簡単なことではありませんが、待っている子どもがいます。応援をどうぞよろしくお願いいたします。

宮本二郎 ゆずりは訪問診療所 (那覇市)

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