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テレサ・テンさんも亡くなったぜんそく発作
テレサ・テンさんも亡くなったぜんそく発作
2023年12月27日公開
日記を書くと悪化を防げるのはなぜ?
私が島の診療所に赴任し、その島の小学校1年生になった長男が夜間にぜんそく発作を起こすようになりました。シックハウス症候群を来すような宿舎ではなく、花粉の少ない環境でした。数日間は吸引治療で乗り切りましたが、どんなに探してもぜんそくの原因は分からず、床掃除を徹底してハウスダストも除去しましたが効果は見られませんでした。
息子が言うには、寝床に就いた後に発作が始まるとのこと。その場所だけといいます。彼は段ボールを積み上げてベッドにしていました。引っ越しで生じたものを利用していたのです。段ボールは有機溶媒を含む接着剤を使用しており、これが発作の原因になったのでしょう。段ボールを処分して元の寝具を使うと、発作はなくなりました。
どんなに探してもアレルゲン(アレルギーの原因)を見つけられず、息子に教えられた時の悔しさを想像してみてください。それでも原因が分かって問題を解決できホッとしました。ぜんそくの原因は何げないところにもあるので、心当たりのある方は原因物質を探してみてください。そのためには、日記を付けることをお勧めします。食べ物や環境要因を書き留めておくと、意外なところで原因物質が見つかることがあります。
以前、学校でぜんそく発作が始まり、放課後に受診した中学生がいました。よくぞ無事に病院にたどり着いてくれたと感謝しました。たかがぜんそくとあなどるなかれ。症状の軽さに油断して、急激に悪化して心停止に至ることもあるのです。
有名どころでは歌手のテレサ・テンさんがぜんそく発作で亡くなっています。ぜんそく発作は経験者ほど油断しがちですので気を付けてください。
死に至ることのある気胸や心不全などの症状は、ぜんそく発作に似ることがあります。ぜんそくのような症状でも、危険な疾患である可能性は否定できません。ぜんそく発作で受診される方の救命率は高いですが、来院前のぜんそくによる心停止の場合は救命率が大変低いです。早期の受診をお勧めします。
知念 一 もとぶ記念病院 一般科(本部町)
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