統合失調症は脳の病気

統合失調症は脳の病気

2023年12月06日公開

10代後半から30代の発症多い 症状は幻聴や引きこもりなど

 統合失調症についてご存じでしょうか。名前は知っているけれど詳しくは分からないという方が大半かと思います。統合失調症は人口のおよそ1%が発症するありふれた病気です。2017年の厚生労働省の調査では、国内の患者数は約79万人とされています。男女差は特になく、発症年齢は10代後半から30代が多いとされています。

 有名人の例では、「叫び」という絵が有名な画家のムンクが統合失調症であったと言われ、ノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュさん(故人)や、お笑い芸人のハウス加賀谷さんも公表しています。

 統合失調症は一言で説明すると脳の病気です。脳内にある情報伝達物質のバランスが崩れることで発症するといわれます。症状は、実際にはないものがあるように感じてしまう陽性症状と、元々あったものが少なくなってしまうと感じる陰性症状の大きく二つに分けられます。

 陽性症状には幻聴(他人には聞こえない声が聞こえるなど)や、妄想(嫌がらせをされている・見張られているなどと思い込む)などがあります。陰性症状には感情の平板化(喜怒哀楽が少なくなる)、意欲の低下や引きこもりなどがあります。

 治療の中心は薬物療法とリハビリテーションです。薬の進歩は目覚ましく、通院で症状が安定する方が増え、入院期間も短期間で済むようになっています。薬は飲み薬だけでなく、2~12週間効果のある注射剤や貼付剤もありますので、それぞれに合った薬を選択することができるようになっています。症状が重い方には治療抵抗性統合失調症の治療薬や電気けいれん療法も選択できます。リハビリテーションには、デイケア・作業療法・SST(社会生活技能訓練)などがあります。

 ほかの病気と同じように、早期発見・早期治療することで症状の悪化を防ぎ、回復が早くなり、安定した社会生活を送ることができるようになります。

 統合失調症について気になることや不安なことがありましたら、精神科や心療内科へお気軽にご相談ください。

古波蔵匡志 天久台病院精神科(那覇市)

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