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中学生の娘、謎のだるさに悩む
中学生の娘、謎のだるさに悩む
2023年10月27日公開
学校に行くも…すぐ帰宅 怠けではなく「質的栄養失調」
知り合いの娘さん、元々は明るく元気だったのに、中学2年生の頃から学校に行けなくなったとのこと。友人関係に問題はなく、学業への意欲はあり、夜更かしもしない。それなのに起床してもだるくて、ソファに倒れ込んでしまうそうです。
親御さんは当初、「怠けるな!」と学校に送り届けていましたが、結局は保健室経由で帰宅することに。困り果てて小児科を受診したところ、起立性調節障害の診断を受けました。
ところが、別の小児科で糖質摂取過多、タンパク質不足、鉄不足(隠れ貧血)の指摘があり、糖質制限、タンパク質の積極的摂取(市販プロテイン併用)、鉄剤などで病気が治ったのです。今はこれらを継続し、元気に通学しているとのこと。
「質的栄養失調」という言葉をご存じでしょうか。エネルギー量は満たしているのに、タンパク質やミネラル、ビタミンなどが不足している状態を指します。体は水分と脂質を除くとほぼタンパク質でできており、消化酵素もタンパク質からできているので、タンパク質不足では鉄を含めたミネラル・ビタミンなどが吸収されにくくなるはずです。タンパク質の指標になる検査は各種ありますが、採血による尿素窒素が最も簡便です。一般に腎臓機能障害や脱水症などの指標となりますが、タンパク質が満たされているかの指標として利用されることはまだ少ないようです。
鉄の指標になる検査も各種あり、採血によるフェリチンが有効で簡便です。フェリチンは貯蔵鉄量の指標となります。健診で通常測定されるヘモグロビンが正常値なので貧血はないと判断されていても、フェリチンは低値で「隠れ貧血」といえる方(特に閉経前の女性)が多くいらっしゃいます。
学校に行けなくなっていた中学生は質的栄養失調を改善することで病気を克服したといえます。筆者の専門である耳鼻咽喉科でも治りにくい病気が多々ありますが、まずは栄養状態の改善により病気が軽快しやすくなるのでは、ということに日々注目しています。
長谷川昌宏 県立南部医療センター こども医療センター耳鼻咽喉科(南風原町)
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