30代から始まる加齢性の難聴

30代から始まる加齢性の難聴

2023年01月27日公開

「イヤホン難聴」を防ぐには?

 難聴は「聞こえ」の問題だけでなく、認知症とも大きく関わることをご存じですか? 2020年に医学誌ランセットが「認知症の40%は予防可能な12の要因により起こるとされ、中でも最大の危険因子は難聴」と発表しました。

 加齢に伴って心身の衰えた状態を「フレイル」といい、介護予防のキーワードとされていますが、難聴によって起こる「ヒアリングフレイル」も注目されています。難聴で社会的に孤立し、フレイルの状態となり、さらには認知症になるという訳です。そうならないためにはどうしたらよいでしょうか?

 新規治療薬の研究が進んでおり成果が待たれますが、今のところ年齢とともに進行する加齢性難聴を治療する薬剤はありません。ただし、難聴を改善する方法として補聴器があります。

 ゆっくりと進行する加齢性難聴はご自身では気付きにくいこともあります。補聴器は見た目を気にする方も多いですが、スタイリッシュなものも増えています。フレイルを予防するアンチエイジングツールです。若い方でも必要な方は使用をお勧めします。有用かどうか悩んでいる方は、補聴器相談医のいる耳鼻咽喉科や認定補聴器技能者のいる認定補聴器専門店へ相談ください。

 自分には関係ないと思っている若者の皆さん、加齢性難聴は30代から始まると言われています。イヤホン難聴という、大音量を長時間聞くことで起こる難聴があり、スマホ世代である若者は今後、この難聴になるリスクが高いと世界保健機関(WHO)も警鐘を鳴らしています。

 そうならないためには予防が重要です。60分イヤホンを使用したら10分休憩しましょう。ノイズキャンセリング機能を持つイヤホンを使用すると音量を下げることができ、イヤホン難聴を予防できるとする報告もあります。

 五感の一つである聴覚を大切にし、楽しい人生を送ってください。われわれ耳鼻咽喉科医はそのお手伝いをさせていただきますので、心配な時はいつでも受診してください。

赤澤幸則 ハートライフ病院耳鼻咽喉科(中城村)

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