沖縄県は人口比で「脆弱性骨折」が全国ワースト

沖縄県は人口比で「脆弱性骨折」が全国ワースト

2022年10月13日公開

ビタミンDと薬剤で予防

 4、5年前までは、骨粗しょう症を積極的に治療する医師はほとんどいませんでした。医師の意識ですらそうでしたので、治療を受ける患者はごくごく一部でした。先にメタボリック症候群という文言で内臓系に対して関心は高まっていましたが、筋骨格系でいうロコモティブシンドロームやフレイルはかなり出遅れてしまいました。

 内臓系も大事ですが、それを支える筋骨格系もしっかりしていないと、健康寿命を謳歌(おうか)できないのです。残念ながら、今治療を受けている患者が氷山の一角と考え、高齢者の半数以上が治療対象だとすれば、日本の食生活や運動量では骨粗しょう症にまっしぐらに突き進んでいると言えます。薬剤投与が必須でしょう。気がめいるほど膨大な数の患者です。

 でも放ってはおけません。骨粗しょう症の次に待っているのは脆弱(ぜいじゃく)性骨折です。要するに骨が弱くて折れやすいということです。骨が折れると、途端に動けなくなります。場合によっては一気に寝たきりになることもあります。脚の付け根の股関節の骨折では、手術をしても1年後に10人に1人はお亡くなりになります。

 脆弱性骨折は骨卒中とも呼ばれ、やっかいなのは「連鎖」することです。隣の骨、反対の骨と影響し、どんどん動けなくなります。沖縄県は人口比で脆弱性骨折が全国ワーストです。「なんくるないさー」ではいけません。「なんくるしないといけないさー」です。

 誰しも家族や周りの人になるべく迷惑をかけたくないでしょう。自分の足で歩ければ、介護が減れば、笑顔が増えます。医療費の削減にもなります。

 骨粗しょう症の治療は難しくありません。必要なのは、骨の質を良くするビタミンDとそれを活性化する日光浴、骨密度を高める薬剤です。ビタミンDは毎日摂取する必要がありますが、骨密度を高める薬剤の投与は、毎日、週1回、月1回、年1回とさまざまで、患者に合わせた選択になります。

みんなで良い骨づくりに取り組み、骨卒中を防いで、自分も周りの人も幸せにしませんか。

赤嶺良幸 中頭病院整形外科(沖縄市)

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