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「発達障害を見つけるため」じゃない
「発達障害を見つけるため」じゃない
2025年11月13日公開
大切な5歳児健診の役割は 成長支える連携の第一歩
来年、小学校に入学するわが子が心配-。そんな保護者の声をよく耳にします。先生の話をきちんと聞けるだろうか、友達と仲良くできるだろうか。こうした不安を一人で抱え込まないために、地域や専門家と一緒に子どもを見守る仕組み、それが「5歳児健診」です。
これまで、3歳児健診の次に受けるのは6歳の就学時健診でした。けれど、就学時健診は身体測定や視力・聴力の検査が中心で、生活や行動に関する困りごとを相談できる場はほとんどありませんでした。
しかし、3歳から就学までのこの時期は、ことばの発達や対人関係、感情のコントロールなど、子どもの成長において大きな変化が起こる大切な時期です。この間、「うちの子は大丈夫かな」と不安を感じていたご家庭も少なくなかったはずです。
5歳児健診というと、「発達障害を見つけるため」と受け止められがちです。けれど、本来の目的はそこではありません。この健診は、子どもたちが安心して一歩を踏み出せるように支える取り組みです。保護者の不安や気づきに寄り添いながら、必要な支援やつながりを一緒に考えるための「相談の場」でもあるのです。例えば、落ち着きがない、手先が不器用、食事のスピードが遅いなどのちょっとした気がかりも、健診で専門家と話すことで今できるサポートが見えてきます。早めに手を打つことで、保護者も子どもも前向きな気持ちで入学の日を迎えることができます。
子どもたちにとって、就学は大きな節目です。だからこそ、5歳児健診は「何かを見つける検査」ではなく、「子どもたちが笑顔で小学校へ進めるよう背中を押すエール」でありたいと考えています。そのために大切なのは、家庭や学校だけでなく、地域や社会全体が関わり合うこと。5歳児健診は、そうした連携の第一歩でもあります。沖縄でも現在、この5歳児健診の導入に向けた準備が進められています。全ての子どもが自分らしく育つことを応援できる社会へ。5歳児健診が、その一歩になることを願っています。
真喜屋智子 県立中部病院小児科(うるま市)
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